同展覧会はその名の通り、作品が展示されているリアル会場への入場を禁止し外から眺めるだけとする一方、アイデアクラウドの展覧会をまるごとバーチャル化できるDX EXhibitionを活用したバーチャル会場では、ダイナミックで臨場感ある鑑賞体験を提供するというものだ。
会期は、2020年8月28日~9月2日の10:00~19:00(最終日のみ17:00まで)で、観覧料はリアルもバーチャルも無料。
リアルをバーチャルにするメリットとは?
リアル会場となる「とりでアートギャラリー」のギャラリー3には、造形作家の山田勇魚氏の作品が並ぶ。しかし、「とりでアートギャラリー」自体には入場できるものの、作品が置かれているギャラリー3には入場不可。一部ガラス張りとなっている壁越しの作品鑑賞のみとなる。一方バーチャル会場は、リアル会場を360度カメラで撮影し、あらゆるアングルで作品鑑賞が可能。また、作品内部を見ながら作品のコンセプトを伝えるVRムービーもバーチャルならではの演出といったところだ。山田氏本人の解説も聞けるのも展覧会をより楽しめるポイントだろう。
さらに、観覧客個人のスマホ・タブレットを通じて手元に作品をAR再現する「作品ARテイクアウト」も興味深い。バーチャル会場は会期中いつでも観覧することができるとのこと。
バーチャル会場を見てみよう!
ということで、実際にバーチャル会場をのぞいてみた。まず見られたのが、広い部屋に斜めに置かれた作品。たくさんの箱のようなもののうえに、たまに生き物の造形物が置かれている。不思議なのはその箱の高さと色。色だけを見ると白からだんだん濃い青に変わり、おそらく陸と海の堺(砂浜? )から深海への道筋を表しているように感じたのだが、箱の高さは深海へいくほうが高い……。
置かれている生き物は、数種類のクジラとカモメ。もちろん生息領域を示すように箱の色に応じて配置されている。カモメは白い低い箱の上だ。部屋の照明の効果もあり、なんとも神秘的な空間となっていた。
今度は、生き物の造形物をひとつひとつアップで見てみよう。
「帰港 マッコウクジラ-1」という作品は、躍動感のあるマッコウクジラの体のなかに砂やまた別の造形物が入れられており、思わず凝視してしまった。
ここまで、このアートの新の意味はつかめていなかったが、VRムービーですべて解決。
かつて海の底に沈んだ船に魂が宿り、クジラの姿を借りて港に戻ってくるというコンセプトのようだ。マッコウクジラの体のなかにあった造形物は船だった。そして、広い部屋に置かれた箱は白から青に変わっているのではなく、コンセプト的に言えば、青から白へと変わっていると解釈するほうがよさそうだ。
思わず夢中になる、不思議な時間を過ごせたと思う。ちなみに、山田勇魚氏の勇魚(いさな)とは、日本の古語でクジラのこと。
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