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ビール工場排水由来のガスで燃料電池発電! 温暖化を防ぐアサヒの実証事業とは?

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地球規模の課題となっているCO2排出量削減。その新たなモデルとして、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社は、ビール工場の排水処理化工程で発生するバイオメタンガス(以下、バイオガス)を活用した燃料電池による発電の実証事業を、アサヒビール茨城工場にて開始する。

なお、同事業には、三菱日立パワーシステムズ株式会社(MHPS)と三井住友ファイナンス&リース株式会社(SMFL)も参画。3社の強みを活かしてCO2排出量削減のための技術開発および普及を進め、持続可能な地球環境の実現に貢献していく構えだ。

3社の役割

同事業は、環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」として実施され、申請代表者として事業全体の取りまとめるのがSMFL。

MHPSは、現在の燃料電池のなかで最も高温(通常700~1000℃)で稼働し、単独の発電装置としては最も発電効率がよいとされる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である「MEGAMIE(メガミー)」をアサヒビール茨城工場に納入する。

もともと「MEGAMIE」は都市ガスを燃料としたCO2発生量の少ないクリーンな発電が特徴なのだが、このたび初めて使用するバイオガスの精製設備と組み合わせることによって、さらなるCO2排出量の低減が期待できるようだ。

アサヒグループは、このバイオガスを燃料電池のカーボンニュートラルな動力源として用いるべく、ガスを高純度に精製するプロセスを2018年6月までに開発。その後、精製したバイオガスを用いて小規模のSOFCで発電する試験を実施したところ、2019年5月には1万時間の連続発電に成功した。

そしてこのたび、バイオガスを用いたCO2排出量削減のための新技術の実用化に向けた最終試験を開始する。

年間1,000トンのCO2削減見込み

同事業の流れとしては、ビール工場からの排水処理のときに発生したバイオガスを精製し、これを「MEGAMIE」の燃料として発電するというもの。

今回実証事業の対象となる設備の運転開始は2020年10月を予定。この設備が稼働することで、発電出力200kWとして年間約160万kWhの電力を供給することが可能となり、これは一般世帯約350戸分に相当するという。そして肝心のCO2排出削減量は年間1,000トンにおよぶと見込まれているようだ。

3社は事業完了までに、工場排水由来のバイオガスを動力源とした燃料電池発電技術の確立を目指すとのこと。

3社が目指すところは……

アサヒグループは「事業を通じた持続可能な社会への貢献」を行動指針のひとつとしており、「アサヒグループ環境ビジョン2050」において2050年に温室効果ガス排出量をゼロとすることを目指す中長期目標「アサヒカーボンゼロ」を設定している。

また、MHPSは高効率な発電システムや資源の有効活用、環境負荷の低減を実現する製品を世界各国に納入し、電力の安定供給や環境負荷を抑えた発展を支えてきた。

そしてSMFLは、ファイナンスサービスの提供や各種補助金の共同申請を通じて、地球温暖化の防止と循環型社会の実現に貢献している。

3社の環境保全や安定した電力供給への取り組みの切り口は違うが、目指すところは同じ。それぞれの強みを活かし、同事業を成功に導いてほしい。

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