水滴の制御手法には、重力や撥水性コーティング、温度の勾配を利用したものがあるが、今回開発のものは全く新しい手法を用いている。同技術は、表面を自律クリーニングする素材や小規模エンジン、自律ポンプなどの開発に役立つという。
水滴の吸収と蒸発を利用したシステム
研究チームによる新技術は、前もって勾配をつくっておいたり、エネルギーを追加したりが必要ないのが特徴だ。キモとなるのは特別な材料でできた薄型シートで、この上にアセトンやマニキュアの除光液といった液体を配置することで機能する。
薄型シートは完全自律で勾配を形成。水滴の吸収と蒸発を利用したシーソー運動を繰り返す。
水滴が蒸発して小さくなるまで自立運動を繰り返す
液体がシート表面に触れると、材料がその一部を吸収して膨張し、水滴が転がる傾斜を形成。膨らんだ部分が空気にさらされると、今度は吸収された液体が蒸発してシートが元の形状に戻る。水滴が転がりついた地点で、再度膨らみが生じ、同様のプロセスを繰り返すことで2つの地点での往復運動を作り出す。研究チームは、さまざまなタイプと量の液体で、この現象を確認した。ちなみに往復運動は、水滴が蒸発して小さくなるまで続くとのこと。
外部からのエネルギーなしで液体が移動するシステムは、マイクロな範囲でのコンピュータの水冷なんかにも活かせそうだ。ダンスする水滴の様子はSEASのブログ記事で確認できる。
参照元:Self-excited dancing droplets/ Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences