実用に耐えられるソーラーバッテリーの開発が求められるなか、ミシガン大学の研究チームによるプロダクトでは、高い光の利用効率と透明度を両立した。
従来の透明なソーラーバッテリーの光の利用効率は約2~3%だったのに対し、同プロダクトでは光の利用効率8.1%、透明度43.3%を実現している。
有機分子と炭素ベースの材料で制作
ビルのガラス窓表面は、通常、可視光線の一部と赤外線を反射/吸収するコーティングが施されており、部屋の明るさは犠牲になっている。同様に、透明のソーラーバッテリーでは、部屋の明るさと光の利用効率を天秤にかける必要があった。研究チームが開発のプロダクトは、従来ソーラーバッテリーで用いられるシリコンではなく、有機分子と炭素ベースの材料で制作している。これにより、シリコンでは得られない光の利用率と透明度が達成できた。
セルはわずかに緑がかっているが、多くのユースケースにとって問題にならない程度だろう。
近赤外線を吸収して有効利用
材料に用いられる有機分子は、可視光線だけでなく、太陽光の大部分を占める近赤外線を吸収するよう設計されている。さらに、研究チームは、赤外線の利用効率と透明度の両方を高める光学コーティング技術を開発した。電極はインジウムスズ酸化物と銀の2タイプあり、いずれも従来のものより材料の毒性が少なく大量生産にも向いている。
研究チームは技術の改善を続けており、光の利用効率をさらに高めるとともに、セルの寿命を延ばしていく計画。また、実際に透明なソーラーバッテリーを設置して経済性を調べているとのことで、早期実用化に期待したい。
参照元:Transparent solar panels for windows hit record 8% efficiency/ Michigan News