従来の課題を解決した睡眠計測サービス
睡眠に関する従来の研究や製品開発では、対象者の睡眠の状態を把握するために、アンケートや活動量計などが用いられてきた。しかし、アンケートは対象者の主観的な評価に基づいており、結果は個人差が大きいものになってしまう。また、睡眠・覚醒を体動から推定する活動量計は、睡眠の質に関して限られた情報しか得られなかったという。そこで、臨床レベルで睡眠を計測する標準法としては、脳波などの生体電位を測定する終夜ポリグラフ検査(PSG検査)が挙げられる。ただし、この方法では検査入院が必要となることに加え、20以上の電極やセンサーの装着による対象者の負担も大きいため、日常の睡眠状態を把握できない。また、得られた生体データの解析による睡眠段階の判定にも時間がかかり、汎用性が高いとはいえなかった。
筑波大学発のスタートアップであるS'UIMINは前述のような状況を踏まえ、PSG検査と同等の精度で脳波データを取得できるウェアラブルデバイスと、高精度のAI解析システムをそれぞれ開発。これらを組み合わせ、実用的な睡眠計測サービス「InSomnograf®」として提供するに至っている。
20種類以上の睡眠指標を算出
「InSomnograf®」の睡眠計測は、アメリカ睡眠学会が提唱する睡眠ステージ判定を忠実に再現したもの。脳波データを30秒ごとの単位(エポック)に分けて、ノンレム睡眠やレム睡眠などの判定を行う。そして、睡眠経過図から20種類以上の睡眠指標を自動的に算出する。サービスの利用にあたっては、企業や研究機関にて対象者を抽出。対象者は、S'UIMINのウェアラブルデバイスを用いて、7晩にわたる測定を実施する。その後、デバイスをS'UIMINに返送。AIシステムによる脳波データの解析が行われ、結果がレポートで共有されるとのことだ。
PR TIMES
(文・早川あさひ)