ケンブリッジ大学の研究者は、AIが白人化しているとの研究結果を発表した。研究者はAIのルックスからアルゴリズムまでを取り上げ、この先ますます広がるであろう無自覚なAI信仰に警笛を鳴らす。
AIは見た目や声が白人
研究者は、ターミネーター、エクス・マキナ、her…といったSF作品に登場するロボットやAIは、そのほとんどが見た目や音声に白人のものが採用されていると指摘する。現実に開発されているロボット/AIについてもこれがあてはまり、AIの象徴としてよく登場するヒューマノイドの「ソフィア」が最たるものだという。
AIの白人化は文化的な表現だけにとどまらない。アルゴリズムには開発者の偏見が反映されることが知られるが、研究者は大手テックのエンジニアは白人の割合が高いことに言及。社会システムに浸透するAIに対しても危機感をつのらせる。
アルゴリズムも白人優位な設計に
実際、検索エンジンを調べた結果、AIに関連した検索結果が白人、あるいは白人の特徴を持つものが主だったという。また、スマホやスマートスピーカーなどに組み込まれるAIアシスタントが話す英語は、ミドルクラスの白人のアクセントを採用しており、結果、意図せず「AI(知性やパワーを持つもの) = 白人」といったイメージを植え付けているとする。加えて、雇用や刑事司法などの重要な場面でAIの裁量が大きくなれば、おのずと白人優位な社会構造が強化されることになるだろう。
研究者はAI白人化の緩和策の1つとして、エンジニアの人種の割合を見直すことを挙げており、AIを日々利用する我々も、根深い課題として認識しておく必要がありそうだ。
参照元:Whiteness of AI erases people of colour from our ‘imagined futures’, researchers argue/ University of Cambridge