ピッツバーグ大学とカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究チームは、イヤホンのようなデバイスを装着し、トーンの聞き分け能力を向上させる手法を開発した。同手法を用いれば、一般の人も聞き分け能力の高い人並みに外国語学習がはかどる可能性があるという。
トーンの聞き分け精度が平均13%向上
新しい手法では、イヤホン型デバイスを使って気づかないほどの微弱な電気信号で神経を刺激する。ベースになっているのは迷走神経を皮膚から刺激する「tVNS」という手法で、てんかんやうつ病の治療にも用いられているもの。研究チームはテスト参加者いデバイスを装着し、英語のネイティブスピーカーにとってもっとも習得がむつかしいとされる標準中国語の習得状況を見た。結果、デバイスにより正確なタイミングで迷走神経の刺激することで、参加者のトーンの聞き分け能力が大幅に改善されたようだ。
具体的には、イヤホン型デバイスを装着した参加者はトーンの聞き分け精度が平均13%向上し、ピークパフォーマンスに到達する速さはデバイスを装着していない参加者の2倍だった。
医用デバイスへの転用も
聞き分け能力が向上したメカニズムについて研究チームは、神経伝達物質のシグナル増強により、聴覚刺激への注意が一時的に高まり、学習が促進されたとの仮説を立てている。この仮説を検証するにはさらなる研究が必要とのことで、研究チームは現在長期間にわたるテストを実施中だ。また、同手法は外国語習得を加速する点で有望視されるだけでなく、医用デバイスへの転用も検討されている。耳に装着するというシンプルな方法は、胸部埋め込み型など従来のtVNSデバイスと比較して手軽で安全に利用できる。
安価に製造できる点でも有利で、同手法が確立されたあかつきには、さまざまな商用アプリケーションに載ることを期待したい。
参照元:Non-Invasive Nerve Stimulation Boosts Learning of Foreign Language Sounds/ News Wise