同ツールは、7月29日~7月31日の期間、日本最大級の国際展示場 インテックス大阪で開催中の「メンテナンス・レジリエンOSAKA2020」内のクボタ機工が出展するブースで公開されている。
目視点検における課題
排水機場ポンプとは、排水機場に設置されている河川ポンプのことで、水位が増した大型河川において本川から支川への逆流を防ぐための樋門を閉じたときに、行き場を失った支川の水流を本川へ汲み出す役割をもっている。クボタ機工は全国の河川ポンプの管理保全を担っており、各自治体や事業会社からの要請によって劣化状況などの点検を実施してきた。
この点検作業には撮影点検から判定、報告書作成までのプロセスがあり、2~3人の点検員と1~2周間という期間を要する。さらに、内視鏡カメラをポンプ内に挿入して映し出された映像を点検員が目視で確認するという手法をとっており、異常検知までの時間がかかることや異常の見落とし、判定できるまでに一定の経験値が必要だということなどを含め、多くの課題があった。
そこで両社は、河川ポンプ内のサビ点検作業の効率化・省人化を実現できそうなAIツールの開発に着手したのだ。
精度98%! 劣化レベル可視化も
Automagiは、インフラ設備の目視点検に特化したAIソリューションを数多く保有している。ヒビ割れ、計器読取、漏水漏油、塗装剥離、営巣、そして今回応用しているポンプ内のサビ検知AI。このたびのツールは、クボタ機工が蓄積してきた点検時の動画データをもとに教師データを作成し、Automagiの深層学習による画像映像解析を活用したサビ検知AIの開発技術を応用して開発された。
内視鏡カメラで撮影したデータをクラウド上のAIに転送することで解析する仕組みだ。膨大なサビデータを学習させた同ツールは、98%の精度でサビを検知するうえに、劣化レベルを色分けして可視化することもできるとのこと。
これにより、網羅的な検知と補修の必要性を判断するサポートが可能となり、点検時間の削減が期待できる。また、AIが統一基準で検知するため、人による判定の課題であるばらつきをなくすこともできるだろう。
今後同ツールは、運用とともにデータを蓄積していき、さらなる精度向上を図るという。また、サビ以外の劣化や異常も並行して検知するモデルの順次実装と、リアルタイムに結果が見られるシステム構築に向けた計画を予定しているとのことだ。
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