最小限のエネルギー消費で、毎秒1~5フレームでスマホに映像をストリーミングする。またシステムには、60度回転できるメカニカルアームを搭載しており、高解像度のパノラマ画像を撮ったり、ターゲットを追ったりが可能だ。
ハエのシステムを模倣して消費電力を削減
通常の小型カメラでは、撮影に多くの電力を消費する。これだとカメラは小型化できても、バッテリーを積むおかげで昆虫に載せられるサイズには収まらない。そこで研究チームは、ハエが見るときにとっている省エネ戦略を模倣した。一部の種類のハエは複眼に高解像度領域を持つ。頭の向きを変えることで、ハッキリ見たいものを追跡。これにより、視野全体を高解像度で捉えるよりもエネルギーが少なくて済むという。
このシステムを実装するのに、研究チームはメカニカルアームを利用した。電圧をかけるとアームが動き、素材が曲がってカメラが目的の角度に。アームは約1分間その角度にとどまってから元の位置に戻る。これは、ニュートラルな状態を基準として、ハエがある方向に頭を向けるようなものだ。
こうして撮影された画像は、広角レンズを用いた場合よりも解像度が高められ、分割された画像から広角の画像が作成可能とのこと。
加速度計で昆虫の動きを検出してバッテリー節約
研究チームは、カブトムシと昆虫サイズのロボットでカメラの性能を実証。カメラとアームは、Bluetoothを介して最大120mの範囲で制御可能だった。研究チームはまた、システムに加速度計を追加して、カブトムシの動きを検出できるようにした。これにより、動いているときのみ撮影が行われバッテリーの節約に。1~2時間しかもたなかったバッテリー寿命が、6時間以上に延長できたとのこと。
昆虫サイズのロボットは、振動を利用して移動する省エネ設計だが、振動がカメラを揺さぶって画像が乱れることを発見。研究チームは、ロボットを一時的に停止させ、写真を撮ってから動きを再開することでこの問題を解決している。
研究チームは将来的に、太陽光発電を利用してバッテリーをさらに小さくする計画で、ミニサイズGoProを背負った昆虫が飛び回る未来もありうるだろう。
参照元:A GoPro for beetles: Researchers create a robotic camera backpack for insects/ UW News