研究チームはもともと、筋萎縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病などの音声バイオマーカーを研究。新型コロナでも音声に特徴が表れることを発見した。
同技術は将来的に、アプリや遠隔診療による新型コロナの診断に利用される可能性がある。
筋肉の動きの微細な乱れを見る
発声には、たくさんの筋肉が関わっており、炎症や神経障害がこれらの相互作用に影響を与える。音声バイオマーカーは、呼吸器官と発声器官(のど)、発語器官(舌、唇、あご)の連携の乱れから、疾患/障害を予測するものだ。音声の大きさや高さ、安定性や共鳴性などを測定し、疾患/障害ごとのパターンと比較することで、まだ症状が表れていない場合にも診断が可能となる。
研究チームは、呼吸器系の症状が特徴的な新型コロナにも音声バイオマーカーが存在すると考え、無症状患者のインタビュー動画から音声の特徴を抽出した。
新型コロナ音声診断機能をアプリに統合
新型コロナによる炎症が、発話に関わる器官の独立した動きを阻害し、運動の複雑さを低下させると仮定。そこで、各器官の動きの指標を測定して、10ミリ秒単位で他の器官の指標に対する変化を見た。その結果、新型コロナ患者では、呼吸器官-発声器官間で運動の複雑さが減少していたとのこと。今後研究チームは、カーネギーメロン大学が公開しているデータセットなど、より多くのデータを用いて検証を進める意向を示している。
また、MITのマクガヴァン脳研究所がうつ病の研究のために開発したアプリ「VoiceUp」に、新型コロナ音声診断機能を統合。ゆくゆくは音声から簡単に、無症状患者や症状が現れる前の患者を検出できるようになるかもしれない。
参照元:Signs of Covid-19 may be hidden in speech signals/ MIT News