独自技術の実証を兼ねて開発
従来の電子回路基板は固い板状のものが主流だったが、現在ではフィルム状のフレキシブルな基板が広く用いられている。そういった基板は曲げたり丸めたりできるものの、繰り返しの「伸び縮み変形」には対応できない。そこで今回の研究チームは、伸縮可能で曲面に追従できる電子回路基板を目指し、研究開発を進めている。同チームは独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術を有しており、その有効性実証を兼ねて今回のスキンディスプレイが開発された。12×12個のフルカラーLED(1.5mm角サイズ)が、薄いゴムシートに2.5mmの等間隔で埋め込まれている。全体の厚みは約2mmで、130%までの伸縮を繰り返しても、電気的・機械的特性が損なわれないとのこと。
薄型かつ軽量で伸縮自在なため、皮膚に直接貼りつけても人の動きを妨げず、装着時の負担が大幅に低減される。また、皮膚だけでなく、曲面を含むさまざまなものに使用可能となっている。
今後の展開に注目
具体的な活用方法の一例としては、コミュニケーションツールが挙げられる。遠隔地にいる人からのメッセージが、まるで自分の体の一部に灯るかのように表示される。その結果、SNSやメールでのコミュニケーションと比較して、メッセージをより身近に感じる効果が期待できるという。
DNPはスキンエレクトロニクスの実用化検証を開始する予定とのことで、今後の展開に注目したい。
大日本印刷(DNP)
(文・早川あさひ)