こうしたなかMITの研究チームは、レーザー光の量子雑音を15%低減するシステムを設計した。
この手のシステムでは、熱雑音の影響排除のために極低温冷却が必要だったのに対し、MITによるシステムは室温で動作するのも特徴だ。
量子スクイーズに光学機械を使用
量子光学的には、検出される光子の数やタイミングにゆらぎが存在する。たとえば、ある時間に検出器に到達する光子の数は、平均数を中心に変動するため、実質正確なことはわからない。ただし、レーザー光の光子を絞り込む(スクイーズドな状態にする)ことによって、検出を正確なものに近づけることはできる。
このスクイーズにはいくつかの手法があり、その1つが研究チームの採用した光学機械を使用するものだ。
レーザーからの量子雑音を15%削減
同システムでのポイントは、2つのミラーを用いるところ。一方のミラーは固定で、もう一方はバネで吊り下げられている。レーザー光を入射するとミラー間で跳ね返り、吊り下げられたミラーが光子に加えられた力でわずかに揺れる。その力は特定の時間にミラーに当たる光子の数を、ミラーが移動した距離は光子が到達するタイミングを規定するのに役立つとのこと。
1つのミラーは幅70ミクロンと、髪の毛の直径よりも小さい。また、吊り下げられたミラーとバネの材料に、周囲の熱エネルギーの影響を受けないものを用いた。これにより、従来必要だった冷却装置を不要にし、コンパクトな光学機械スクイーザーを実現している。
実験の結果、レーザー光からの量子雑音を規定し、これを15%削減することができた。研究チームはさらなる実験を重ね、より実用的なスクイーザーを開発する計画だ。
参照元:Portable system boosts laser precision, at room temperature/MIT News