10万台の自動車から写真・動画を収集
自動車に傷がついているかどうかを確認するのは、経験のある担当者による目視に依存してきた。撮影した写真を使って検査を自動化するアイデア自体は以前からあったが、技術的な課題により実用化が進んでいなかったのだ。その背景として、自動車の光沢、光の反射、塗装、撮影の角度などが検査に影響を与える点が挙げられる。ヘッドライトのキズを正面から確認するのは目視であっても難しい。
Inspekt labsは最新の人工知能技術を用い、キズ検査を自動化しようとしている。日本・英国・インドで合計10万台の自動車を撮影したデータを収集し、98%以上の精度で傷が判定できる製品を開発した。15秒以内で判定ができるので、検査に要する時間が95%削減可能だ。
バイクや携帯電話にも応用できる技術
Inspekt labsは既に大手自動車会社や保険会社と契約し、キズ検査の迅速化を実現しようとしている。500件以上の写真や動画を基に、キズの種類を判別する手法を特許とした。キズ検査の高速化はレンタカー会社、カーシェアリング会社などにも需要があるだろう。さらに、将来的には自動車だけではなくバイク、トラック、船舶、携帯電話、ホテルの備品などにも応用される見込みだ。
2020年7月、同社は米国や英国のベンチャーキャピタルから60 万ドルの資金を調達した。製品開発・顧客獲得を推進し、キズ検査の無人化・迅速化を実現していくことが期待される。
Inspekt labs