こうしたなか、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)の研究者は、ARをベースにした建築技術を開発した。同技術を用いることで、ロボットの正確さとヒトの匠の技を組み合わせることが可能。ブロックを正確な位置に配置でき、斬新なデザインの建築物にも対応できるという。
オブジェクトを認識してブロックの配置位置を正確に映し出す
研究者が開発では、建築家による設計をソフトに読み込み、これに基づいて現場でヒトがブロックを積み上げる。作業中のスポットにはカメラが向けられ、ソフトがオブジェクトを認識してもとの設計と比較。モニタにブロックの配置位置を正確に映し出す。モニタを見ながら作業することで、ミリメートル単位の精度でブロックが配置できる(作業の様子は動画で見られる)。従来の建築技術でこのような精度を達成するには、多大な労力を要するという。
ブロックを特別な角度に配置できるので、複雑なデザインを実体化することも可能だ。
まったく新しい建築物も実体化できる
この技術はすでに2つのプロジェクトで使用されている。ギリシャのオリンポス山麓にある総面積225m2のワインセラーは、地元企業が3カ月足らずで建築した。また、チューリッヒ近郊のカフェテリアの壁は、非対称形状の木材ブロックで構成されていて、ブロック間に吸音と換気のための隙間のある複雑なデザインだ。研究者はスタートアップincon.aiを共同創設。ARを活用した同技術をブラッシュアップしている。
ソフトをより使いやすものに改良するとのことで、まったく新しい建築物が次々登場する可能性がある。
参照元:Crooked to the millimetre/ ETH Zurich