オランダのアイントホーフェン工科大学の研究チームは、意図した通りに表面状態のドライ/ウェットが切り替えられるスマートスキンを開発した。
この人工スキンは、ウェアラブルデバイスに組み込んで薬の塗布をスケジューリングしたり、ロボットの冷却に利用したり……といった使い道が想定される。
スポンジの原理で動作
今回開発の技術の肝は、液晶テレビなどに用いられる素材、液晶分子の特性を利用したこと。研究チームは、液晶分子が電気に反応してねじれを形成することを発見した。素材の表面にマイクロスケールの孔を設けて、スポンジのと同じ原理で動作させる。つまり、絞ると水がにじみ出し、戻るときに吸収する現象を再現した。
ねじれはコマンドで調整可能で、これを利用して繰り返し液体の放出や吸収が自由自在だ。
人体やロボットが触れても安全
コマンド送信については、熱や光、電気などが利用できるようだが、研究チームは人体に着けても無害で、ロボットの動作にも影響がない低エネルギーの放射線を採用した。これは、すでに電気治療や電気自動車で利用されている種類のものだという。研究チームは次のステップで、人工スキンを抗生物質や潤滑剤、アルコールなどで機能する仕様にしていくとのことで、さらに実用に近づきそうだ。
参照元:Artificial skin heals wounds and makes robots sweat/ Eindhoven University of Technology
Artificial Organic Skin Wets Its Surface by Field-Induced Liquid Secretion/ Cell