ミシガン大学の研究者グループは、従来のサーモスタットにとって替わる、より効率的で快適な室温調節システムを開発した。「HEAT(Human Embodied Autonomous Thermostat)」と呼ばれるこのシステムは、室内のメンバーの顔の温度を追跡して室温調節に活かす。
フィードバックから室温の好みを学習
HEATは、サーマルカメラと3次元ビデオカメラを組み合わせて、顔の温度を追跡することで、室内のメンバーが暑いか寒いかを判定する。体温測定機器の装着や個別のカメラは不要だ。カメラから取得した顔表面の温度データを予測モデルに送り、最小のエネルギー消費でメンバーの快適性を最大化する温度を決定する。
HEAT導入後の数日間、メンバーはスマホアプリを介して快適さをフィードバックすることで、システムが室温の好みを学習していく。
プライバシーにも考慮された設計で、カメラは個人を特定せずに温度データを収集し、すべての映像は処理後すぐ、数秒以内に削除されるようだ。
安価な構成で利用できる
10人のメンバーで行われた研究にて、HEATが快適さを効果的かつ効率的に維持できることが示された。使用しているカメラは市販の安価なもので、モデルは一般的な住宅に合わせて作られている。ただ、モデルを調整することで、病院などでも利用可能となり、防護服を着用している医療従事者の快適性向上にも役立つという。
研究チームは、この技術を市場に投入することを計画しており、現在商用化パートナーを検討中だ。また、米電力事業者サザン・カンパニーと提携して、アラバマオフィスでのテストを開始しているとのことで、早期実用化が期待できる。
参照元:Turning faces into thermostats/ Michigan Engineering News Center