サイバーリンク株式会社が開発したAI顔認証エンジン「FaceMe」を活用し、アバター遠隔接客の効果検証を行った。ちなみに、「FaceMe」は高速かつ高精度(本人識別率 99.70%)の顔認証を実現し、IoT用エッジデバイスからクラウドまで柔軟に対応するのが特徴だ。
店舗設計でお客の行動はどう変化する?
同実験の背景には大きく2つの市場環境がある。ひとつは小売業界における人手不足と好立地な出店場所の減少により出店へのハードルが高くなったこと。もうひとつは、昨今の新型コロナウイルスの影響により接触機会を減らしながらの接客の形や在宅勤務などのスタッフの働き方変革が求められていることだ。この状況を受け、小規模・省力化店舗や非対面の接客の実現、その環境下でのCXや売上の向上を目指し実施されたのが同実験である。
検証にあたり、東急ハンズ渋谷スクランブルスクエア店のヘルス&ビューティコーナー内「UV特集コーナー」にアバター特設ブースを設置。新宿本社にいるUV対策商品に詳しいスタッフがアバターを介してお客とコミュニケーションを取るという方法で実施された。お客の肌状態や商品の用途などを把握したスタッフが要望に沿った商品を補足画像を用いて提案するという接客がおこなわれたようだ。
また、NTTデータはCXのシナリオ設計から店舗デザイン、商品ディスプレイ、商品画像、売り場案内の動画やポスターまで複数パターン制作し、お客の行動変化の観察・計測を試みた。
実験から捉えた、デジタルストアの可能性
検証の結果、アバター遠隔接客には「アバターの方が気軽に話しかけやすい」「説明と商品画像がセットで表示され分かりやすい」などのメリットがあることがわかり、遠隔からの双方向コミュニケーションによる新たな接客スタイルの確立が期待できるとのこと。また、NTTデータは脳科学×AIモデルで人間の感性に迫るソリューション「NeuroAI」を活用し、同社が複数パターン制作していた売り場案内のコンテンツの好感度などを事前に評価。指標が異なるコンテンツを期間を分けて採用した結果、NeuroAIの指標と売場に対するお客の認識率に相関性が確認されたという。これはつまり、魅力的な売場づくりへの科学的なアプローチの有効性を示していると言えるだろう。
さらに、お客の性別や年齢層、感情を推定する顔認識AIと会話内容を高精度にテキスト化する音声認識技術によって、客層ごとのニーズの把握に成功。これにより、スタッフの接客品質の向上が見込めるとともに、お客のニーズを反映した商品開発が可能となるなどCX向上にも期待できるとのこと。
同実験結果は、小売業界の人手不足や店舗運営の課題解決へのヒントとなり得るかもしれない。
PR TIMES