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Adobeがリリースした無料カメラアプリ「Photoshop Camera」の実力と可能性

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6月10日にApp Storeで配信が始まったPhotoshop Camera。Android版も、翌日にはリリースされた

PhotoshopやIllustratorでおなじみのAdobeが、6月10日にスマホ用アプリ「Photoshop Camera」の配信を開始した。

対応機種は、iPhone 6s以上、iOS 12以上のiPhoneと、Android 9以上の一部Androidスマホ。Pixel 3/4(XL含む)や、Galaxy S9以上のGalaxyが対応するが、対象となるモデルは限定的だ。料金は無料となる。

どんよりした曇り空は「レンズ」をかけるとここまで変わる

Photoshop Cameraは、Adobeが開発したAIの「Adobe Sensei」を内蔵したカメラアプリ。被写体を認識して、最適な処理をかけて画像を補正するのと同時に、「レンズ」と呼ばれるフィルターをかけることができる。

これだけだと、スマホが出始めのころからあったカメラアプリと大差がないように聞こえるかもしれないが、Adobe Senseiの実力は、作り出される映像を見れば一目瞭然だ。

撮影しながら、リアルタイムに合成処理をかけることができる

その実力がもっともわかりやすいのは、風景写真に「ブルースカイ」のレンズを適用したときかもしれない。

以下の写真は、曇り空の日に撮った風景に、青空のフィルターをかけたもの。ビルの背後に写る空だけがきっちり置き換わっており、あたかもピーカンの日に撮ったかのような写真に見えるが、実はこれも合成によるものだ。ビルの上に立った細かなクレーンも、しっかり前景の一部と認識されている。

2枚とも、天気がいい、晴れた日に撮影したような写真に見える

より現実に近い元画像がこちら。上の2枚は、どんより曇った日に撮影したものだ

このような合成を手動でやろうと思うと、意外と骨が折れる作業になる。背景の空だけを切り抜いて、別々に撮った青空を合成しなければならず、PCで作業しても時間がかかる。ディスプレイサイズが小さく、インターフェイスがタッチに限定されるスマホだと、なおさら難しい作業になりそうだ。

こうした合成処理を、レンズの選択だけで行えるのが、Photoshop Cameraの実力と言える。

青空のレンズを適用すると、現実の風景に近い写真が出来上がるが、これはいわば写真の補正に近い(と言っても、なかなか日本でここまでの青空を撮るのは難しいが……)。適用するレンズによっては、より非現実的な写真に仕上げることも可能だ。

以下は、その名の通り、「幻想的な空」というレンズを使った写真。被写体となる風景は上記に掲載したものと同じだが、巨大な惑星や銀河が写り、現実離れした写真に仕上がっている。

惑星を出現させたり、怪しく光る銀河にしたりと、さまざまな加工が可能

人物撮影の際の背景ボカシも

風景以外にも、人物や食べ物などにレンズを適用することが可能。人物の場合、Adobe Senseiが被写体を認識し、自動的に背景ボカシの処理をかけることができる。

Adobeによると、複眼カメラによる焦点距離の違いから導き出された深度情報は使わず、あくまでAIによる処理だけで背景ボカシを実現しているそうだ。AIがうまく服のディテールを認識できなかったためか、よくよく見ると肩の部分などのボケ方が少々不自然ではあるものの、パッと見は一眼レフで撮った写真のようにも見える。

人物写真は背景をボカしたり、照明効果を加えたりといった処理をかけることができる

こうした処理は、撮影時に、リアルタイムでかけることが可能だ。Photoshop Cameraを起動すると、被写体を認識し、最適なレンズを提案してくれる。ただし、現状では、人物、風景、食べ物など、認識できる被写体は限定的。撮影時には、境界の処理などが少々いい加減になるが、これはおそらく、リアルタイムで精度を上げすぎると、処理が追いつかなくなるためだろう。撮った写真を見てみると、撮影時よりも正確にレンズが適用されていることがわかる。

撮った写真を選んで、後から処理をかけることもできる。この場合は、例えば風景なら風景と認識できるかどうかは、写真の内容次第になるため、レンズの処理を適用できないこともある。確実にレンズを適用した写真を撮りたいときは、Photoshop Cameraで直接撮影したほうがいいだろう。

リアルタイムな撮影だけでなく、撮影後の写真を選んで処理をかけることも可能

ただのアプリではないPhotoshop Cameraの可能性

レンズは、初期設定のものだけでなく、レンズライブラリからダウンロードすることも可能だ。

レンズは、登録したユーザーがPhotoshopを使って独自に開発できるようになっており、様々なクリエイターのものが配信される予定。配信されたアプリにも、ベータ版のときに開発されたレンズがをダウンロードすることができる。

Adobeによると、「有名人にインスパイアされたレンズも、これからリリースしていく」という。日本のクリエイターも、レンズの制作に参加しているそうだ。

追加のレンズも配信。レンズの種類は、今後も増えていく見込みだ

無料で配信されているアプリだが、レンズが配信できることで、イベントなどのプロモーションを行う“媒体”になりそうだ。Photoshop Cameraのビジネスモデルは明かされていないが、クリエイターがPhotoshopで作ったレンズを披露する場にもなり、間接的にAdobe Creative Cloudの利用も促進できる。

ただし、端末側に処理能力が求められるため、冒頭で挙げたとおり、現状では対応する機種が限定的だ。特にAndroidはPixelシリーズとGalaxyシリーズ以外が非対応で、同レベルのスペックを持つ端末でも利用ができない。Androidはバリエーションが多く、検証が進んでいないためだと見られるが、日本で人気の高いXperiaシリーズやAQUOSシリーズに非対応なのは残念だ。今後の対応機種の広がりに、期待したい。

(文・石野純也)
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