その一環として、2020年2月に同志社中学校においてVR学習の有効性を検証する実験を実施。今月に至るまで専門家などの知見を得つつ結果を分析し、VR学習が有効であることを確認した。
VRで入国審査&レストラン
同実験は、入国審査やレストランでの注文など留学や海外旅行で必要となる英会話を学習する過程で、スクリプトと音声教材による従来どおりの学習方法をするグループ、VRを活用し現実さながらのコミュニケーションを体験しながら学習するグループの2グループ各12名に生徒をわけ、学習後のテストにより習熟度を評価するというものだ。評価はネイティブスピーカーと英語教諭により5項目に着目して行われスコア化される。その項目とは、相手の会話に対して適切な間で回答できているかという「レスポンス」、ネイティブに近い「発音」、文法に誤りがないかという「正確性」、相手の会話を正確に聞き取れているかという「理解力」、学習スクリプトを応用した会話ができているかという「オリジナリティ」の5つ。
この実験を2月4日~5日と2月13日~14日の2回実施し、英会話学習におけるVRの有効性を検証してきた。
VR学習の効果とは?
結論から述べると、英会話におけるVR学習は、従来の学習方法よりも生徒の習熟度を高めるということがわかった。学習後の理解度テストの結果、VRで学んだグループは「レスポンス」「発音」「正確性」「理解力」の4項目で従来の方法で学習したグループを上回った。とりわけ「正確性」では約10%の向上が見られたとのこと。
また、VR学習をおこなった生徒へのアンケート調査では、「VRによる学習方法は効果がある」と回答した生徒は約74%。その回答の理由としては、「本当にそこに外国の方がいるようで、理解度テストではあまり緊張しなかった」などの声があり、VRでの疑似体験がテストへの緊張感を軽減していることが伺えるだろう。
この結果を受け、同志社中学校・高等学校の反田 任先生は、五感を使って学習する効果を実感しており「学習内容の定着という点で注目すべきVRの効果」だとコメント。さらに、聖心女子大学にて教育分野の認知科学を研究している益川弘如教授は、文法や単語を覚えることが中心の日本の英語教育において課題となっていた「英語を使う」経験を繰り返しおこなえるVR学習は、新たな学習手段として期待できるものだとコメントした。
同社は同実験を通じて、VRの学習への効果を確認できたとし、今後は医療や観光業など幅広い産業分野の教育・研修活動にVRを活用していく予定だという。また、新型コロナウイルスの影響で高まる非対面でリアリティのある体験への需要にも応えていきたいとのことだ。
NTTコミュニケーションズ