非常に小型なのにも関わらず、内部にはカメラが内蔵されており、患者は薬と同じようにして、口から「PillCam」を摂取する。すると、カメラは体内を通って大腸にたどり着き、およそ8時間をかけて、消化器の状況を高速撮影する。撮影された写真は、患者の腰に装着された記録装置デバイスにデータ送信される。医者は、その記録装置からデータを引き出し、患者の大腸の様子をチェックするという流れだ。
アメリカ国内では、毎年およそ75万件の大腸内視鏡検査が未完了のままになっており、患者にとっては、検査の費用負担だけでなく、痛みに対する恐れがあるため、なかなか検査に踏み切れない現状があるようだ。「PillCam」によって、患者は薬と同じような感覚で飲むだけで、大腸内視鏡検査のように手間や時間をかけて、大掛かりな検査を受ける必要もなく、非常に負担が軽くなる。
ただし、「PillCam」の写真の精度はそれほど高いわけではなく、既存の大腸内視鏡検査の代わりにはならないという。あくまで、大腸の不調をざっくりと把握したり、がんにつながるような初期兆候を見つけるサポートをするためのツールであることは、念頭に入れておく必要がある。とはいえ、大腸内視鏡検査はアメリカ国内では数千ドルの費用がかかるが、この「PillCam」なら500ドルという大幅に抑えた価格で受けることができるため、患者にとっては大きなメリットだろう。現在、アメリカ以外にも80カ国で認可を受けているという。
PillCam