いつ感染が再拡大してもおかしくないというリスクを背景に、企業は時間差出勤や、在宅勤務との組み合わせなど、なるべくオフィスに社員が密集しないように頭を悩ませている。そんな中、とあるオフィスデザインが注目を集めている。同じフロアで働く人同士が接することがないよう、オフィスの中にポッド状の個室を置くというものだ。
“隔離的”な個室
エジプト・カイロ在住のデザイナーMohamed Radwan氏が手掛けた「Q.workntine」は六角形のポッド状の個室。この名称は隔離を意味する「quarantine」と「work」からきていて、他人との接触を減らすことを意図している。パーテーションで仕切るオフィスは多いだろうが、Q.workntineは完全に個室。その中にデスクや椅子が配置される。扉や天井の一部が透明で、閉じ込められている感はさほどなさそうだ。
扉はタッチレスで開閉
このデザインにはいくつかの新型コロナ対策が施されている。まず、空気清浄機機能付きのファンを2つ搭載している。それから、扉は手で触れなくてもいいよう、顔認証で開閉できるようになっている。また掃除や消毒がしやすいよう、壁はあえて無孔材を採用している。加えて、ポッドが六角形なのも意味がある。六角形だと直線や蜂の巣状などにポッドをつなげることができ、オフィススペースを効率的に使えるのだという。
メーンのポッドは正六角形だが、椅子を3つほど置ける細長い六角形のポッドも用意されている。こちらは管理職の個室、あるいは打ち合わせ室といった使用を想定しているようだ。
一部ではオフィス不要論も展開されているものの、完全にオフィスをなくすというのは現実的には難しい。ただ、何らかの新型コロナ対策は必要、というのがいま広く共有されている認識だろう。Q.workntineはまだコンセプトだが、Withコロナ時代のヒントになりそうだ。
Q.workntine
(文・Mizoguchi)