ひとつがカメラにこだわった「Mi Note 10」の廉価版にあたる「Mi Note 10 Lite」。もうひとつが、コストパフォーマンスを追い求めたRedmiシリーズの最新モデルとなる「Redmi Note 9S」だ。
Mi Note 10 Liteは税込みで3万9800円から、Redmi Note 9sは2万4800円からと、いずれもミドルレンジモデルのボリュームゾーンと呼べる価格帯になる。
コストパフォーマンスの高い「Mi Note 10 Lite」と「Redmi Note 9S」
単に価格だけなら、同程度のスマホはいくらでもあるが、2機種とも、その価格に対し、搭載されているスペックが非常に高い。コストパフォーマンスの高さでは、SIMフリースマホで1、2を争うレベルと言えるだろう。例えば、スマホの処理能力を決める頭脳でもあるチップセットは、Mi Note 10 LiteがSnapdragon 730Gで、Redmi Note 9SがSnapdragon 720Gだ。
Snapdragonは百の位で搭載される端末の性能を表しており、各社のフラッグシップモデルは、軒並みSnapdragon 800シリーズを搭載している。これに対し、ミドルレンジモデルはSnapdragon 600シリーズのものが多い。Xiaomiの2機種は、この中間にあたるSnapdragon 700シリーズを搭載。
フラッグシップモデルほどの処理能力はない一方で、グラフィックスを活用したゲームもしっかり動くなど、処理能力はミドルレンジ以上と言える。
カメラについても同様で、Mi Note 10 Liteはメインカメラが6400万画素、Redmi Note 9Sは4800万画素と高画素だ。画素数=画質ではないものの、高画素カメラはスマホのトレンドのひとつ。4つの画素を結合して撮影することで暗所での写りを改善したり、高画素で写真を撮っておいて後で拡大して使ったりと、単に大きなサイズの写真が撮れる以上の意味がある。
Mi Note 10 Lite、Redmi Note 9Sともに、超広角カメラやマクロカメラも搭載しており、シチュエーションに合わせたカメラを選択できるのも魅力だ。
Mi Note 10 Liteは、ディスプレイにも有機ELを採用しており、コントラスト比が高く、発色も鮮やか。指紋センサーはディスプレイ内にあり、センサーが外装に露出していない点もポイントが高い。
Redmi Note 9Sは、コストの関係もあってディスプレイは液晶だが、インカメラはディスプレイに開けられた穴に収められており、ノッチのように目立たないデザインを採用。指紋センサーも側面の電源キーと一体化させた。
今回のリリースから見えるXiaomiの戦略
他のメーカーであれば、1〜2万円程度高くなる仕様だが、ここまでリーズナブルな価格で発売できたのはなぜか。Xiaomiによると、同社はスマホの利益率を5%以下に抑えており、そのぶんをユーザーに還元しているとのこと。大規模な広告宣伝も控えているのも、端末価格の引き下げに貢献しているという。
また、特にRedmiシリーズは企画当初からコストパフォーマンスを最大限にすることを目的としており、グローバルで見ると、1機種あたりの販売量が多い。1世代前の「Redmi 8/8T」は、2020年の第1四半期で、もっとも販売台数が多いAndroidスマホだったという。
1台あたりの製造台数が増えれば、規模の経済が働き、そのぶん部材のコストを抑えることができる。Xiomiは、意図的にこの価格を実現したというわけだ。
ただし、競合他社を見ると、Mi Note 10 LiteやRedmi Note 9Sと同じSnapdragon 700シリーズのSnapdragon 710を搭載するOPPOの「Reno A」は、おサイフケータイや防水に対応している。
SIMフリーモデルとして売れ筋となったシャープの「AQUOS sense3」も、おサイフケータイなどの日本仕様にきっちり対応しており、SIMフリースマホ市場も、コストパフォーマンスだけではアピールしづらくなっている現状もある。
逆に、ファーウェイのPシリーズ、Mateシリーズはおサイフケータイなどの国内仕様には対応しておらず、純粋にコストパフォーマンスが評価されてきた。政治問題が尾を引き、ファーウェイがGoogleのサービスに対応したスマホを出せない中、Xiaomiのスマホがその座を奪える可能性も出てきた。
ファーウェイと比べるとサポート体制はまだまだ手薄で、一般的な知名度も低いが、コストパフォーマンスのよさが伝われば、じわじわと人気が高まりそうだ。
(文・石野純也)