白いものはカビで、原因は菌。放っておくと植物が弱ってしまう。対策としては殺菌剤が主流だが、新たな対処法を米国とノルウェーの合同研究チームが考案した。紫外線の照射だ。
菌のDNAを破壊
殺菌剤の散布は一定の効果があるが、問題もある。まず、費用がかさむこと。これは大面積を耕す農家にとっては大きな負担だ。そして殺菌剤は地球に優しくない。また、繰り返し同じものを使うとカビに耐性ができてしまい、効かなくなってしまうという弱点もある。そうした問題を解決すべく考案されたのが紫外線を活用したソリューション。研究チームによると、他の生物と同じく菌も紫外線のDNA破壊に弱い。そこで紫外線を放出しながら畑を自動で動き回るロボット「Thorvald」を開発した。
日没後の作業で効果
ただし、菌には防衛メカニズムが備わっていて、自然光に含まれるブルーライトを浴びると紫外線の“攻撃”をかわすスイッチが入る。そのため、研究チームは陽が落ちてからThorvaldを活用することにした。実際に米ニューヨーク州のブドウ畑でThorvaldを試験使用したところ、うどんこ病を除去する効果が確かめられた。また、別の菌による病気「べと病」にも効果が認められたという。
使用するUVライトはさほど強くないため、植物には害はないとのこと。また、今後はそれぞれの植物の菌の量を自動感知してUVライトの強度を調整するシステムも搭載する計画という。
Thorvaldはコーネル大学、フロリダ大学、ノルウェー生物経済研究所などの研究者らが共同で開発し、ノルウェー企業SAGA Roboticsがデザインと製造を手掛けた。今年後半の商業展開を目指している。
コーネル大学
(文・Mizoguchi)