パデュー大学らの研究チームは、まぶたのスマホ画像を使用して血液中のヘモグロビンレベルを測定する手法を開発した。
研究から、スマホカメラを利用した同手法による診断が、従来の血液検査に匹敵する精度が得られることが判明。同手法は、貧血や栄養状態の診断などに利用できる可能性がある。
スマホ画像から分析で用いるスペクトル情報を抽出
同手法では、物質が吸収する光のスペクトルを分析する「分光分析」が用いられている。分光分析自体は、血液中のヘモグロビンレベルの測定にもよく利用されているものとのことだが、通常この手の分析には、高価な光学デバイスが必須だ。研究チームが開発した手法では、スマホカメラがそのまま利用でき、撮影した写真をソフトウェア処理で高解像度のデジタルスペクトル情報に変換する。
測定の際は、下まぶたを下げて写真を撮る。スペクトル超解像アルゴリズムにより、画像から詳細なスペクトル情報を抽出。次に別のアルゴリズムがスペクトルの特徴を検出することにより、血液中のヘモグロビンレベルを予測する。
臨床血液検査と比較して測定誤差5~10%以内
今の段階では、スペクトル情報の抽出にはコンピューターが用いられるが、これもモバイルアプリでできるようになる可能性があるとのこと。138人のデータを使用してアルゴリズムがトレーニングされ、15人のデータで推論が行われた。 テストからは、測定誤差は臨床血液検査と比較して5~10%以内であることが示されている。
採血なしで血液中のヘモグロビンレベルがわかれば、血液検査が手軽になるだろう。また、特別な医療デバイスやレンズが不要となればコストが安く抑えられ、検査の裾野が広がりそうだ。
参照元:New Mobile Health Tool Measures Hemoglobin Without Drawing Blood/ OSA
mHealth spectroscopy of blood hemoglobin with spectral super-resolution/ OSA