そうは言っても、まだリスクは残っていてすぐに全てが元通りということにはならない。たとえば、出勤するにしても満員の電車やバスを利用するのはハイリスクだ。こうした状況は他国も同じで、経済再開を進める欧州各国では国民に自転車やキックスクーターなどの使用を奨励している。
自転車修理を補助
地下鉄や電車、バスなどは基本的に「密」の空間であり、ラッシュ時でなくても他人と一定の距離を維持するのは難しい。そこで、欧州では徒歩での移動、あるいは自転車やキックスクーターの活用を呼びかけ、実際、そうしたマイクロモビリティの利用を促進しようと予算もつけている。たとえばフランスは自転車の修理費を補助するなど、予算2000万ユーロ(約23億円)の促進策を発表した。このほか、自動車レーンを自転車専用レーンに変える計画も明らかにし、似たような動きは隣国ベルギーやスペインでも見られる。
電動モビリティも推進
自転車に加えて、電動キックスクーターの使用も促進しているのが英国だ。近年人気のマイクロモビリティだが、日本と同様、英国でも電動タイプの公道での使用は規制されている。しかし、公共交通機関の使用を控えてもらうために、公道でも走行できる試験プログラムを開始する。もともと来年のスタートを予定していたものだが、新型コロナを受け前倒しした。英国も自転車やキックスクーター専用のレーンを設けて安全を確保する。
職場や学校が自宅から近ければ徒歩や従来の自転車でいいだろうが、距離がある場合、電動タイプの自転車やキックスクーターが現実的な選択肢となる。夏の暑さが厳しい日本では特にそうだろう。
国や自治体は緊急事態解除後もテレワークを推奨している。だが、出社せざるを得ない職の人もいる。そして時間差出勤も限界がある中で、今後やってくる新型コロナ第2波に備えるという観点からも電動マイクロモビリティの推進は日本にとって有効な策となるはずだ。
英国政府ホームページ
(文・Mizoguchi)