そんなコピーが印象的な、遊休地を活用して駐輪場の問題を解決してくれるサービス、「PEDALRest(ペダレスト)」。
今年の1月に待望のβ版がリリースされたこのサービスの仕組みはシンプルで、遊休スペースを駐輪場として有効活用したい貸し手と、自転車を置くスペースを探している借り手をマッチングするというもの。
駐輪場の検索から申し込み、決済まで全てオンラインで簡単に行うことができる。現在はまだβ版のため、都内でも数カ所のみで実験的にスタートしているが、今後は利用できる駐輪場をどんどん増やしていきたいとのこと。
昨年にはKDDIが主催するインキュベーションプログラムにも採択された、注目のPEDALRestを開発しているCEOの中島氏、CTOの幸氏からサービスにまつわるエピソードを聞いた。
Q.PEDALRestが生まれた経緯について教えてください
元々創業者2人とも自転車を日常的に使っていて、共に自転車を撤去されてしまった経験があったため何とかこの問題を上手く解決できないかと考えるようになったのが最初のきっかけです。
私自身(中島氏)は競技とかではなく、お金と時間の節約をするために移動時は自転車を使うことが多かったのですが、市街地だと自転車を停めるスペースが限られていて困ることがよくありました。
しょうがなく道路の脇に少しの間停めておくと撤去されてしまい、結局自転車を使った方が無駄なお金と時間がかかってしまって。個人的な体験から始まり、同じような問題を抱えている人も一定数以上いるのではないかと思いました。
Q. 聞くところによると中島さんは元々別の事業をされていたとのことですが、そこからどのようにして現在に繋がっていったのでしょう?
今回は2回目の起業で、最初に起業した際はソーシャルメルディアをキーワードにいろいろ試行錯誤していました。こちらの会社は現在も続けています。
3年くらいソーシャルメディアをテーマに事業をやった後で一度ゼロベースでやってみようと考えた際に以前の自分の自転車の経験がふと浮かび、去年の4月頃から少しづつブラッシュアップしてみることにしたんです。
その後5月にスタートアップウィークエンドを経て、以前から付き合いの合った現CTOの幸もジョインし、9月にKDDIさんのプログラムに採択されたというような感じですね。
Q.実際都心部などで駐輪場が少ないのは、増やせない何かしらの原因があるのではないかと思うのですが、そちらに関してはいかがでしょうか?
既存の駐輪場が限られた場所にしかないのは、“開設と撤去の工事費用”の問題などにより、100台分くらいのスペースがないと採算があわないというのが大きな原因だと思います。そのためそのくらいのスペースが確保できないと、そもそも駐輪場を開設するのが難しいということになります。
それに対して、簡易な駐輪設備を利用したり、精算機ではなくオンラインで決済することで、遊休スペースのような小規模なスペースでも駐輪場として利用できるのではないだろうか考えました。
自転車を停める際にも、立てかけて停めるようにすることで、狭いスペースでも1台でも多くの自転車を停めることが出来るように工夫をしています。
Q. β版を1月末にリリースされてますが、現在感じていらっしゃる課題や、今後注力していきたいポイントについて教えてください
始まったばかりのサービスなのでまだまだこれからの部分が多いですが、まず1つ目は掲載駐輪場数ですね。現在は都内の数カ所のみ掲載していますがこの数をもっと増やしたいと考えています。
具体的には最初はあるエリア、例えば渋谷1丁目などの限定されたスペースにおいて、「目的地から1分以内に駐輪場がある」という仕組みを作り上げたいと思っています。
2つ目は、「時間単位」で利用できるようにすること。現在は月単位で利用できる仕組みですが、より使いやすいサービスにするため、時間単位で利用できる仕組みを構築したいですね。
最後は駐輪場を利用できるユーザーを増やすこと。ユーザーは駐輪場が見つけることが目的のため、既存の駐輪場なども掲載することでより多くの選択肢が見つかるようにしたいと考えています。後はブログメディアやソーシャルメディアを使ったコンテンツマーケティングに力を入れる予定です。
Q.最後に今後の目標やビジョンについて教えて頂けますでしょうか
まず目標としては、先ほども申し上げた通り、限られたエリアでもいいので「目的地から1 分以内に駐輪場がある」という状態を作り上げることですね。そしてそのエリアをどんどん増やせればと思っています。
また、『自転車の「まっすぐ」と「寄り道」をインターネットでもっと楽しく』というビジョンを掲げているのですが、利便性がある一方で寄り道も楽しめるのが自転車の良いところだと思っているので、ここはぶらさないで続けたいと思っています。
よく「バイク版や駐車場版はやらないんですか?」と尋ねられることがあるのですが、当社のビジネスドメインは遊休スペース活用ビジネスではなく、ビジョンに掲げている通り、あくまで自転車にフォーカスを絞っていきたいと考えています。
まだまだスタートしたばかりのサービスではあるが、これまでにあまりなかった切り口で今後が楽しみなPEDALRest。自転車によく乗る方は是非1度試してみてはいかがだろうか?
PEDALRest