大手不動産サイトとは異なり、購入検討者が住みたいと思ったマンションの生の声が読めるのがこのサイトの魅力。
2013年3月にローンチし、同12月には、口コミ件数が100万件を突破した。今も尚口コミは増加傾向にあるという。
口コミを集めるという古典的なCGMで、特にサイトが炎上することも、寂れることもなく、運用が続けられている秘密を探るため、同サイトを運営する株式会社レンガを訪問し、インタビューを試みた。
株式会社レンガの社員は、社長を除いて4人。エンジニア、デザイナー、ディレクターと、ベンチャー企業では標準的な人員構成だ。
少し異なるとすれば、上記3人に加え、コミュニティマネジメントを担当する社員がいることくらいだ。今回は、ディレクションを担当する岡崎氏(同取締役副社長 写真右から2番目)を中心に話を伺った。
■投稿を100個以上のチェックリストから手作業で確認
Q.マンションノートを運営する上で気を付けていることを教えてください
「CGMの基本を忠実に守っているだけです。投稿数を増やすために、ABテストによる使いやすウェブを作りこんだり、口コミの質を高めるために、投稿された口コミを目検でチェックしたりしています。目検チェックは、100個以上のチェックリスト項目を手作業で確認しています。一つでもパスできない投稿は、サイトに掲載されません。そのため、ユーザーに対しては、敷居が高いものになってしまいますが、その分質の高い口コミが集まってきます。」
■質の高い口コミは、臨場感が伝わる定性的なもの
Q.システムで、NGワードのマッチングとか、文法のチェックなどは行っていないのですか?
「基本的なNGワードチェックをかけるくらいです。質の高い口コミは、マンションの雰囲気や臨場感が伝わってくる定性的なものですし、マンションノートでは、マンションの気になるところも書いてもらいますから、ネガティブな意見が入っていても質の高い口コミになることもあります。」
トレードオフの関係にある投稿数と投稿の質だが、マンションノートでは、投稿の質に拘った運営が行われているように感じた。
しかし、投稿の質は、チェックリストと、人間の感覚だけで計れるものではないだろう。
消費者が何度も購入する日用品に比べれば、そのマンションに入居したことがある人の割合は明らかに少ないので、実在するマンションをモデルにして、自分の理想を頭に思い描きながら書けば、事実とは異なるが質の高い口コミが作りこめる。
■気になった投稿には、実際に訪問し、事実確認を行う
Q.質を良くしようというのは分かりましたが、その質を証明するような取組はしていますか?
「口コミの審査をしていて、特に気になった口コミを投稿したユーザー宅には、我々社員が実際に訪問し、事実確認を行うようにしています。その結果、同じマンションでは、想像で書いているような口コミを審査で落とせるようになりますから、口コミがより信頼できるものになると考えています。ちなみに、ユーザーとサポート等でやり取りする場合は、カスタマーリレーションが対応するのですが、そのやり取りの内容は、ディレクターやエンジニアも把握するようにしています。」
CGMで成功しているベンチャー企業の例としてマンションノートを取り上げた。口コミ判定システムを作りこみ、判定を自動化しているわけではなかった。
人力メインで、口コミ判定の承認プロセスを作りこんだことや、ユーザーと双方向でコミュニケーションできる環境を作ったことにより、質が高く、信頼できる口コミが集まるようになったといえる。
そんなマンションノートは2期目に突入したばかり。さらに質の高い口コミが掲載され、ユーザー数が増えていくことを期待しよう。
日本最大級のマンション口コミサイト マンションノート
(Writer: Yoshifumi Kuga)