聞こえの機能を助ける器具として補聴器などが開発されてきているが、専用器具は値段が張り、しかも着用感がよくなかったり、見た目として周囲の視線が気になるものも多かった。一方で、目立たないよう小型化すればするほど、性能が低下してしまうという問題がある。
音声、動画テクノロジーの会社Creative Technologyの音楽プロデューサー、Michelle Temple氏とEric Rosenthal氏が開発した「Wear」では、単に聞こえ機能を増幅させるだけでなく、ユーザーの状況に応じて調整が可能な、再現性の高い方向性マイクを導入。
アナログ音声を用いることで、音声の遅延が生じがちなデジタルシグナルの問題を回避した。また、近距離のシグナルを感知する能力に長けており、より近くの音が増幅され、その他の音が小さくなるようになっている。通常、周囲がざわざわと騒々しい環境では個別の音を拾いにくいが、「Wear」ならそういった環境下でも聞こえを確保しやすい。ユーザーはヘッドフォンを装着してデバイスにつなぎ、話している相手のほうにデバイスを向けるだけでよいのだ。
「Wear」は見た目にも配慮されていて、ネックレスのように首にかけて使う。マイク部分は円形の形状をしていて、ダークレッドのプラスチックタイプ、あるいはウッド&メタルタイプの2つの仕上げ加工から選択できる。スタイリッシュなデザインなので、一見するとオシャレな装飾品のようにも見え、いかにも補聴器を着けている、という印象は受けない。
現在はヘッドフォンを使った利用形態だが、開発チームでは今後、骨伝導の技術を取り入れたバージョンの展開も視野に入れているという。
Wear