同サービスは本来、野菜を仕入れる企業・店舗向けのものだが、今回は生産者に対しても無料提供するようだ。リリースにあたり、野菜を仕入れるパートナー企業および農業生産者の募集を開始した。
衛星画像データ解析と機械学習
このたびのリリースではキャベツのみを対象として、AIを活用した収穫日予測、生育状況のモニタリング、異常検知、市場価格予測を行う。これにより、仕入れ側のコスト削減や生産者の作業効率および計画性向上が期待できるようだ。植物には、その量や活力を示す「植生指数」がある。これは植物の光を反射する特性を活かし、衛星データを使って簡易な計算式で植生状況を把握するための指標だ。
同サービスは、ユーザーの指定する農場を連続撮影した、分解能5m以上の高解像度衛星画像から「植生指数」をトラッキングすることで、収穫日予測と「良好」「遅れ」「不良」の3段階評価による生育状況のモニタリングを可能にする。また、異常気象や害虫発生などにより生育に遅れが出る可能性や、自然災害による被害が発生する可能性を自動で検知し、アラートで知らせる機能もあるようだ。
さらに、過去の市場価格や気象データなどを学習させた独自開発のアルゴリズムにより、1週間後と1ヶ月後の大田市場(東京都大田区東海)における市場価格を予測。これまでよりも早い段階で市場価格の値動きが把握できるため、仕入れコスト削減につながっていくだろう。また、市場価格が大幅に高騰しそうな場合も自動検知しアラートで知らせるという。
新たな機能、新たなサービス
同サービスは今後、農業生産者向けにも市場予測などの機能を拡張する予定とのこと。それに先立ってこのたび、契約農家からキャベツを仕入れるパートナー企業とともに、同サービスを利用する生産者も募集しているのだ。両者ともに募集期間は2020年4月3日~2020年5月8日、生産現場の衛星モニタリングをする場合のモニタリング面積は10ha以上という条件がある。なお、生産者に関しては募集数が予定数到達次第終了とのこと。
「埋もれているデータから新たなビジネスを生み出します」というミッションを掲げる同社は、2019年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の知的財産やJAXAの業務で得た知⾒を利⽤して事業をおこなうJAXAベンチャーに認定されている。
最近では3月末に、深層学習を応用した画像検索AIにより誰でも手軽に衛星画像を利用できる「DATAFLUCT discovery.」や、衛星データ解析による都市課題可視化サービス「DATAFLUCT aline.」β版などをリリースした。今後も5GやIoT、AIなどがますます進化し、爆発的に増えるであろうデータの中から新たなサービスを創出してくれることを期待したい。
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