武漢の病院を対象とした臨床経過の研究からも、その危険性がわかるARDS(急性呼吸窮迫症候群:肺炎や敗血症などによる重度の呼吸器不全)の発症を早期に予測できれば、トリアージにも反映できる。ニューヨーク大学の研究者らは、患者の初期症状からARDSの発症を予測するAIを開発を試み、論文を発表している。
・重篤化に関連する3つの症状が判明
ニューヨーク大学の研究者らは、温州中央病院など中国の2つの病院のデータを用いて、ARDSの発症と関連する症状を分析している。患者の初期段階の臨床的特徴を入力に、ARDSの発症を予測するモデルを作成したところ、肝臓の酵素(ALT)レベルの軽度の上昇、筋肉痛、ヘモグロビンレベルの上昇の3つが、予測に最も役立つ症状と判明した。
同研究は、“迅速な意思決定のサポートを提供するための最初のステップ”だという。
・最大80%の予測精度
ScienceDailyの記事によれば、上記3つの症状とそれ以外の臨床的特徴を組み合わせたときの“予測精度は最大80%”だったようだ。また少し意外なことに、COVID-19で特徴的な初期の発熱度合いや、肺の画像診断パターンは予測にとって有用な因子にならなかった。さらには、COVID-19の発症や重篤化と関連することが知られる年齢や性別も、今回の研究では予測に役立たたなかったという。
今回の研究は、比較的小さなデータセットが用いられたもので、今後さらに役立つものに発展する可能性がある。
参照元:Towards an Artificial Intelligence Framework for Data-Driven Prediction of Coronavirus Clinical Severity/ Science Press