ビル・ゲイツといえば、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を通して、エボラウイルス撲滅に注力してきたのをご存じだろう。彼は、ウイルスに対するソリューション開発を資金面でバックアップし、舵取りをしてきている。
きたるパンデミックについても繰り返し警告を発しており、その準備も整えてきているが、さすがに今回の規模でのものは想定外だったようだ。
ウイルスに関して随一の知識と見通し、行動力を持つ男が、Reddit上で直接不安や不明点を解消してくれる貴重な機会とあって、11万2000ものコメントがついた(すでにコメント受付終了)。
・中国の「シャットダウン」対策を評価
I’m Bill Gates, co-chair of the Bill & Melinda Gates Foundation. AMA about COVID-19. from r/Coronavirus
同トピックには、誰もが知りたい内容から聞きづらい内容までが、膨大な数投稿され、これらに対してビル・ゲイツが具体的に回答している。
例えば、パンデミックが“どれくらい続くか”、との質問に対しては、“国によって大きく異なる”とし、中国のとった大胆な「シャットダウン」対策を評価。このようにうまくやれば“6~10週間以内に症例数を減らすことができる”としている。一方、医療リソースや資金に余裕がない発展途上国ではこれがむつかしいことにも言及している。
また、“どれくらいの人が感染するか”との質問に対しても、“貧しい国では社会的な距離を空けることがむつかしい”ことを理由に感染が拡大することを危惧。これに対して、中国は人口の0.01%未満にとどまりそうな現状から、台湾、香港、シンガポールのとった迅速な行動も、感染者数抑制につながるとの見解を示している。
・検査の需要を満たすにはトラッキングシステムの導入がカギ
アメリカで感染検査の供給が需要に追い付いていない現状について、公的なスクリーニングサイトの利用範囲を拡大することの重要性を述べている。優先的に検査が必要な人を切り分け、検査に足りない物資をトラッキングすることができるシステムを導入することで、“数週間以内に需要に追いつくことができる”とし、これにより、自宅検査キットやドライブスルー検査などが活きるという。
また、これに関連して、社会からの隔離状況を把握するトラッキングシステムを導入した韓国の対策を評価しているようだ。
・集団免疫の獲得戦略は患者数のコントロールがむつかしい
集団免疫を高める方向性のオランダの対策については、“機能することがわかっている唯一のモデルは、極力社会的な距離を空けるもの(「シャットダウン」)”とし、感染者数がコントロール不能に拡大することでの医療機関の麻痺を懸念している。自身の専門領域であるワクチン開発について、現在6つ以上のプロジェクトが急ピッチで進行中で、ワクチン完成後から市場に出回るまでの期間、「18カ月」は、安全テストなどのために必要とのこと。
また、ワクチンの量産には大きな資金が必要なことについても言及。自身も最大1億ドル(約110億円)の支援をコミットしている。
ビル・ゲイツは最近、マイクロソフトの取締役を辞任しているが、これについては今回のウイルス“流行とは無関係”としつつ“財団の仕事に集中するという決定を強化した”と述べている。
リーダーとしての責任を果たすべく、人類の脅威に全速力で立ち向かうビル・ゲイツの姿勢はたいへん勇気づけられるものだ。ビル・ゲイツの新型コロナに関する意見や活動を知るために、ぜひトピックを一読いただきたい。
参照元:I’m Bill Gates, co-chair of the Bill & Melinda Gates Foundation. AMA about COVID-19./ Reddit