同モデルは、クアッドカメラを搭載したモデル。超広角が1/1.54インチ、広角が1/1.7インチとともにセンサーサイズが大きく、7680fpsでのウルトラスローモーション撮影や、ISO感度5万1200のウルトラ—ローライト感度に対応する。
価格は12万8800円だが、3月28日から100名限定で行う先行販売では、1万円が割り引かれる。
Googleアプリ非対応の「Mate 30 Pro 5G」
Mate 30 Pro 5Gは、OSにAndroidを採用したスマートフォンだが、大きな違いもある。ホーム画面を見るとわかるように、Googleのサービスが内蔵されていない。Androidスマートフォンではどの端末にも設置されているGoogleの検索ウィジェットがないだけでなく、Gmail、Googleカレンダー、Googleフォト、Googleドライブなどのアプリも見当たらない。Android用のアプリストアであるGoogle Playにも非対応だ。
代わりに搭載されているのが、ファーウェイ自身が運営する「AppGallery」と呼ばれるアプリストアになる。
メールやカレンダーなどのアプリも、Googleアカウントでの同期はできないが、ファーウェイ自身が開発したものが内蔵される。Androidでありながら、Googleのサービスが利用できないというわけだ。
その理由は、Mate 30 Pro 5Gが、Googleのサービスを利用するために必要な「Google Mobile Service」(GMS)の認証を取得できないところにある。
独自開発のHMS(Huawei Mobile Service)
一般的なAndroidスマートフォンの場合、各メーカーが端末を開発し、OSにはオープンソースのAndroidを使用する。その上でGMSの認証を取得し、Googleの各種サービスやアプリを端末に内蔵する。例えば折りたたみケータイのOSにAndroidを使っている場合、あえてGMSを取得しないで独自のアプリやサービスで固めることもある。POSレジなどにAndroidを使う場合も、同様だ。一方で、スマートフォンとして販売される端末が、GMSを取得していないことは非常に珍しい。
単に、Googleのサービスやアプリが利用できないだけではない。GMSには、サードパーティの開発するアプリが利用するためのAPI(Application Program Interface)が含まれる。一例を挙げると、あるアプリで位置情報を取得するとき、GMSの「Google Location Service」を呼び出す形で利用する。GMSが非対応になると、これらのAPIを利用したアプリも動作しなくなる。
そのため、ファーウェイは各種アプリやAPIを自社で開発したHMS(Huawei Mobile Service)を用意。Mate 30 Pro 5Gにも、このHMSが採用されている。HMSはGMSの代替となるもの。アプリの開発者がこれを組み込むことで、HMSを採用したファーウェイの端末で動作するようになる。そのアプリを配信するのが、先に挙げたAppGalleryになる。
第3の勢力になり得るか
iOSやGMSを採用したAndroidに次ぐ、第3の勢力を立ち上げたかのように見えるファーウェイだが、HMSは同社自身が望んで始めたものではない。むしろ、政治的な状況から、HMSを開発せざるをえなかったのが実情だ。米国によるファーウェイへの禁輸措置によって、グーグルはファーウェイとの取引ができなくなった。ここには、GMSが含まれる。HMSを開発しなければ、新製品を出せなくなっていたというわけだ。ファーウェイ自身も、制裁が解けるなどして、GMSの利用が可能になれば、それを最優先する方針を示している。開始したばかりということもあって、AppGalleryに登録されたアプリはまだまだ少ない。日本で必須ともいえる「LINE」はなく、トレンドになっている決済関連のアプリや、人気の高いゲームも見当たらない。一方で、ファーウェイは、世界第2位のスマートフォンメーカーで、グローバルでの販売台数は2億台を超える。アクティブユーザーは4億人を超えるという。この規模のユーザーにアプローチできると考えれば、アプリをHMSに対応させるメリットもある。ファーウェイ自身も、開発者の参加を促すため、「Shining-Star Program」を展開。1000億円規模の資金を投入して、開発者をサポートする方針だ。アプリの開発者会議も、日本を含めた世界各国で開催している。
現時点ではまだまだPlayストアの後塵を拝しているAppGalleryだが、ユーザーの規模感や資金力は大きい。道は険しい一方で、iOSやGMS対応Androidに次ぐ第3の勢力に成長する可能性も、ゼロではなさそうだ。
(文・石野純也)