そんな懸賞ビジネスは、個人情報取得が目的の悪質なサイトが蔓延し、一旦は廃れてしまったように思える。2010年12月にYahoo!懸賞が閉鎖したことも、ビジネスが廃れた証拠かもしれない。
しかし、2013年11月頃に、Yahoo!懸賞がURLを変更し、復活していたのをご存知だろうか。Facebookと連携し、「いいね!」を押せば懸賞に応募できる仕組みだ。一旦廃れた懸賞ビジネスも、SNSと組み合わせるなどして、復活の兆しを見せている。
そんな折、Yahoo!懸賞と同じ時期(2013年9月)にサービスインした「懸賞でポン」というサイトを見つけた。Facebook広告の掲載よりも、ファン数の獲得率が良いという噂を聞きつけ、運営元である株式会社ファンブックの共同創業者、原麻由美CfO(※)に話を聞いた。
※Cheif fanbook Officerの略。他の企業でいうCheif Communication Officerに相当
Q.懸賞でポンを使うと、Facebook広告より効果が出るというのは本当ですか?
「そうですね。効果が出るというよりも、少ない費用投資で、より多くのファンを獲得できているということになります。当社は、元々、企業のSNSマーケティングを支援するコンサルとして営業し、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアから企業のファン数を増やすノウハウを持っていますから。このノウハウを活かして、高い効果を出せればと考えています。」
Facebook広告よりも費用投資が少ないという点では、「懸賞でポン」は使えそうだ。「懸賞でポン」では、応募するときに必ずアンケートに答える仕組みになっている。
また、あらかじめアンケートに答えておけば、その回答に基づいて懸賞に自動応募できるシステムもある。したがって、例えば、Facebook広告への出稿費用よりも安い価格を設定し、懸賞でポンに広告懸賞を掲載する。
流入数はFacebookに比べて少ないが、アンケートの回答により自動応募してくるユーザーは、その企業のファンになってくれる可能性が高い潜在顧客なわけだから、1ファン獲得あたりの費用投資率は低くなるというわけだ。
また、Facebookと異なり、ユーザーの属性情報が全て手に入るというメリットがある。Facebookでいいね!を押しても、Facebookで決められた属性情報しか手にはいらないが、懸賞でポンならば、選択式アンケートの結果や、どんな検証に応募したかといったデータからユーザーの行動分析が可能になる。
Facebookを使ったマーケティングでは手の届かないような細かい情報まで手に入るのは魅力的だ。しかし、どうしても絶対数が足りない。Facebook広告でファン獲得数が伸び悩んで来た場合に、新たな販路拡大のためのオルタナティブ広告としてなら「懸賞でポン」は使えるといえる。
ローンチから6ヶ月でユーザー数は、約4万人弱。2014年の目標は、ユーザー数を100万人に伸ばすことであるという。実際にユーザー数が100万人になれば、当然、懸賞でポンの広告出稿費は高くなるだろうから、その時、1ファン獲得の費用投資効果がFacebook広告よりも低いまま維持できるかが、同社が成功する鍵と言えそうだ。