Techable(テッカブル)でも取り上げたが、同社は2020年1月の「モバイル市場年鑑 2020」にて、2019年のモバイル市場の動向と今後の予測を発表している。
サブスクリプションの成功
このたび同社が焦点を当てたのはマッチングアプリ市場だ。2012年以降、全世界で17億以上のマッチングアプリがダウンロードされ続けているという。米国「Wall Street Journal」によると、マッチングアプリは結婚件数増加につながるだけでなく、より長く幸せな関係の構築に役立っているとのことだ。2019年のモバイル市場では、米国における非ゲーム系アプリ上位250の消費支出の9割以上がサブスクリプションによる課金であり、その多くをマッチングアプリと動画ストリーミングアプリが占めていた。
また、2019年には非ゲーム系アプリのサブスクリプションにおける世界消費支出ランキングで、前年1位の「Netflix」を抜いて、マッチングアプリの「Tinder」が首位を獲得している。
マッチングアプリの消費支出に目を向けると、2017年から倍増し、約2400億円に達したことが判明。アプリ内サブスクリプションの好調により「Tinder」が消費支出を独占してはいるものの、そのほか「JSwipe」「Single Parent Meet」「Chispa」「OurTime」などのニッチなアプリがユーザーの選択肢を広げているという。
また、マッチングアプリの世界消費支出ランキングトップ10を見ると、ユーザーがサブスクリプション料金として1ヶ月に支払った平均金額は、2017年比で95%増加したことがわかった。さらに、最も平均支出額の高かったアプリでは年間約9,900円(90ドル)という結果が出ており、これは9ヶ月分のサブスクリプション料金とほぼ同額だという。
日本のマッチングアプリ事情
マッチングアプリの世界消費支出ランキングの9位に、日本のパブリッシャーで唯一「タップル誕生」がランクインしている。これにより同社は、日本でもマッチングアプリに課金する層が増えてきているとの見方を示した。実際に、日本における非ゲーム消費支出ランキングで、エウレカ社の「Pairs」(親会社は米国IAC)が5位、サイバーエージェント社の「タップル誕生」が6位と、マッチングアプリのマネタイズ成功がうかがえる。
また、日本におけるマッチングアプリ消費支出ランキングTOP10からは、ユーザーの課金額が前年比で約43%増加していることがわかった。「Pairs」「タップル誕生」が上位を独占するなか、日本でも海外同様、ニーズの違うほかのアプリの台頭も見られる。しかし、日本のユーザーはゲームアプリ、非ゲームアプリともに、国産アプリを使う傾向にあり、海外からの参入が難しい領域であることも見えてきたようだ。