名刺ほどの大きさで、本体重量がわずか79gというコンパクトさがセールスポイントの一台だ。大画面化が進むスマートフォン界において、ユニークさが際立つ存在となっている。
「大は小を兼ねる」という言葉を考えると、この「Rakuten Mini」は時代に逆行しているようにも見える。コンセプトを耳にしたときは、筆者も「いくらなんでも小さすぎでは?」と懐疑的な見方をしてしまったというのが正直なところ。
しかし今回のレビューで、その考えを改めさせられることとなった。「Rakuten Mini」は、類を見ない携帯性と万能さによって、今までスマートフォンの「2台持ち」を考えたことのなかった人にも魅力的な端末だ。
これが本当にスマートフォン?
公表サイズは、高さ106.2mm×幅53.4mm。実機を手に持ってみると、それまでただの数字でしかなかった寸法が、にわかに実感を帯びたものとなる。あまりの小ささに、「これが本当にスマートフォンなのだろうか?」と思わずにはいられない。カードと並べてみると、そのコンパクトさが強調される。厚みも含めて良い意味で存在感が薄く、たとえばスーツの内ポケットに入れても違和感はないだろう。
筆者が今回レビューしたのはナイトブラック。背面はつやのある仕上がりとなっていて、高級感がある。シンプルなたたずまいで、どのようなシーンにもなじむという印象だ。画面ロックを解除すると、ポップな雰囲気の丸いアイコンメニューが姿を現す。実はこれ、「Rakuten Mini」オリジナルのユーザーインターフェースだ。
本体のコンパクトさに合わせて、すっきりした見た目と操作性を両立したデザイン。主要な機能がうまくまとまっていて、片手でも楽に扱うことが可能になっている。
実際に触ってみても、深く考えることなく自然に操作をすることができた。アニメーションもかわいらしく、万人受けする操作感といえるだろう。試しにWebブラウジングをしてみても、動作はスムーズ。スクロールなどの操作にストレスは感じなかった。
画面サイズの都合もあり、文字は小さめになる。ただし、設定で調整できるだけでなく、ピンチアウトによる拡大にも対応しているため、大きな問題はなさそうだ。
手のひらに収まるような画面に情報が表示されると、今までに体験したことのない近未来的な感覚でワクワクした。特に目的がなくても、「Rakuten Mini」をさっと取り出して検索したくなる。
小さくても機能に一切の妥協なし
極めてコンパクトであるにもかかわらず、これ一台でなんでもこなせてしまうのが「Rakuten Mini」の優れたところ。「おサイフケータイ」に対応しているため、さまざまな決済シーンでスマートに利用することができる。モバイルSuicaとして使用したり、ポイントカードを携帯したりと、活用の幅は広い。
また、流行りのキャッシュレス決済との相性も抜群。電子マネーを愛用するユーザーであれば、財布を持たずに「Rakuten Mini」一台だけで出かけることもできるだろう。背面には、約1,600万画素のシングルカメラを搭載している。
あまり大きな期待をせず「簡単な記録ができれば十分」と考えていたが、試しにメガネの写真を撮ってみたところ、予想を上回るクオリティに驚いた。
コンパクトな見た目以上のカメラ性能で、記録用にとどまらず多彩な活躍が期待できそうだ。また、防滴や防塵性能を兼ね備えており、たとえばランニング中に音楽プレーヤーとして使うような形で、フィットネス用途にも適している。
サイズが小さいからといって性能面に妥協は見られず、多くの機能をぎゅっと詰め込んだ一台という印象を受けた。
実機に触れてみての感想
実機の使用感を一通り確かめてみて、正直なところ「欲しい」と思ってしまった。究極のコンパクトさに加えて、どんな場面でも使えそうな万能性を感じたことがその理由だ。特に魅力的だったのは「おサイフケータイ」対応で、個人的に現金よりもキャッシュレス決済に頼ることが多くなっているため、「Rakuten Mini」を持っていれば心強いと思う。普段使うスマートフォンはバッグに入れておき、ポケットの中で携帯するのは「Rakuten Mini」という活用方法も考えられる。
現在のスマートフォン市場においては比類なき小ささで、今後の高い人気が予想される「Rakuten Mini」。バランスの取れた高い完成度で、「スマートフォンは既に持っているから2台目は不要」という考え方を変えるだけのポテンシャルを秘めている。
(文・早川あさひ)