20回目を迎える今回のレポートでは、デジタルテクノロジーが偏在する時代において、「テック・クラッシュ」を乗り切り、成功を掴むカギとなるテクノロジーとその活用法を予測をした。なお同レポートの調査対象者は、25カ国、21の業界にわたる6,074人の企業経営層およびIT担当幹部である。
「テック・クラッシュ」の要因
同社は「テック・クラッシュ」について、今日のビジネス環境が「テクノロジーに対する反発(テック・ラッシュ)」と表現されることに違和感を感じているようだ。なぜならこの表現には、社会がテクノロジーの恩恵を受けているという事実が反映されていないからだという。そして、「ひとのニーズや期待と、それらにそぐわないビジネスモデルやテクノロジー活用方法の不一致(テック・クラッシュ)」という表現のほうが適切だと指摘した。同レポートにより、多くの人の働き方や暮らしにテクノロジーが組み込まれている一方で、企業や組織が必ずしも顧客のニーズや期待に対応しきれていないことが判明。今後は、企業が提供する価値と顧客が持つ価値観に対し、新たな考え方やアプローチをもって、従来とは異なる調和を図ることが成功のカギになると予測した。
同社最高技術責任者(CTO)兼 最高イノベーション責任者(CIO)のポール・ドーアティ氏は、現在の「テック・クラッシュ」は、検討が不十分なままの製品やサービスをやみくもに市場に投入したことに起因するとしている。このような製品やサービスは、消費者の期待、テクノロジーの潜在的な提供価値、ビジネス目標のそれぞれに食い違いを生じさせるというのだ。
そして今後重要なことは、ひとの信頼を得ることを最優先に据えたビジネスやテクノロジーのモデルを創出し、競争と成長のための新たな基盤を築いていくことだとコメントしている。
押さえておきたい5つのトレンド
同レポートは、企業が既存モデルを踏襲し続けることは、顧客の不満増大や社員のエンゲージメントの低下、イノベーションや成長の永続的な制限などを引き起こすリスクをはらんでいると警告。一方で、「テック・クラッシュ」は解決できる課題であるとし、課題解決に向かう企業が、今後3年間で押さえるべき5つのテクノロジートレンドを定義した。まずは、提供する体験を一人ひとりに合わせて設計することだ。一方通行の体験を双方向の体験へと変化させることで、個人の選択肢を広げ、積極性を生みだすという。その結果、顧客との関係に変化が見られるようだ。
次に、AIの活用法について。企業は信頼性と透明性を担保しながら、自動化のための手段としてではなく、業務に付加価値をもたらすものとしてAIを組み込んでいくべきだとしている。
続いて、製品は常にベータ版であるという時代に突入し、製品を所有することの基本概念が揺らぎ始めている新たな時代への備えだ。
そして、ロボットの活用。5Gの登場により、ロボットの活用が加速されるなかで、企業は自社の未来を考え直す必要に迫られるという。
最後に、自社独自のイノベーションのDNA構築。現在の企業は、AI、AR、ブロックチェーン技術、量子コンピューティングなどさまざまなテクノロジーを活用できる環境にある。これらすべての管理と、市場のニーズに合わせた迅速な進化を実現するためには、イノベーションのDNAが不可欠だという。
PR TIMES