ソーラーオービターミッションでESAは、NASAと協力して宇宙から太陽の詳細な観測を行う。太陽が発する放射線の影響を調べ、地球や宇宙でのリスクを減らすのが目的のひとつだ。
また、これまで誰も見たことがない太陽の極域を撮影する計画も立てられており、今後5年かけて探査が行われる。
・最大500℃にも耐えられるヒートシールドを備える
太陽からの放射線および磁気嵐は、地球上の通信システムなどを麻痺させたり、今後月や火星へのミッションで宇宙に出る人間を危険にさらしたりする可能性がある。ソーラーオービターは、備わったさまざまな計器により、太陽磁場や太陽風などを詳細に観測。コロナなどの高解像度写真も撮影する計画だ。
地球と金星の重力を利用して水星の軌道に入り、探査機や地上からは観測できなかった太陽の極域も観測する。最も近づくと、太陽表面から約4200万km。最大500℃にも耐えられるヒートシールドにより計器を守りつつ、任務を全うしてくれることだろう。
・NASAのパーカーソーラープローブやイノウエ太陽望遠鏡と連携
ところで、NASAのパーカーソーラープローブはすでに太陽のより近い距離で観測を実施している(1月29日にはこれまででもっとも太陽に近い位置を通過したところ)。2基の探査機はそれぞれ別の役割があるが、連携してデータを補完し合うことで、太陽についての理解を深める。ちなみにパーカーソーラープローブにはカメラはなく、太陽風がどのように発生するかを解明すべくデータ収集にいそしむ。
2基の探査機とイノウエ太陽望遠鏡のデータを組み合わせることで、太陽の活動周期や太陽系のメカニズムの解明は急速に進むだろう。
参照元:Liftoff for Solar Orbiter, ESA’s mission to face the Sun up close/ ESA