・世界初の自立エネルギー型燃料電池船
エナジー・オブザーバー号は、フランス人2人が2015年にレース用ボートをエネルギー自立型の船に改造。太陽光や風力の再生可能エネルギーや、海水からつくった水素を用いた燃料電池を動力とする、世界で初めての自立エネルギー型燃料電池船だ。サイズは全長31m 、全幅13mで、遠洋航海時の定員は8名。2017年の出航以来、約3万2400㎞の航海を行い25か国に立ち寄っており、2023年までに計50か国に寄港する世界一周航海を目指している。
一方、トヨタは2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」において、「人とクルマと自然が共生する社会」を目指すことを発表。Toyota Motor Europe(以下、TME)は、このトヨタの目標とエナジー・オブザーバー号の概念が一致すると考え、航海当初からオフィシャル・パートナーとして支援を開始し、エナジー・オブザーバー号チームと緊密に連携を重ねてきた。
・「MIRAI」の搭載部品を用いた船舶用FCシステム
そしてこのたび、トヨタとTMEは燃料電池自動車「MIRAI」の搭載部品を用いて、船舶用のコンパクトなFCシステムを開発し、エナジー・オブザーバー号に搭載。これまでのエナジー・オブザーバー号と比べて、高出力、高効率、高い信頼性を実現した。MIRAI は2014年の発表以来、トヨタが量産車として製造販売する世界初のセダン型燃料電池自動車。走行中にCO2をしないゼロエミッションで、先日航続距離800㎞を誇る第2世代が発表されたばかりの今注目の車だ。2019年末に、停泊中のエナジー・オブザーバー号でトヨタのFCシステムの搭載試験を実施し、現在、海上で最終試験を行っている。今後、トヨタのFCシステムを搭載したエナジー・オブザーバー号は2020年2月にフランスを出港し、大西洋と太平洋を横断する予定。
トヨタは、船舶へのFC利用は水素社会の実現に向けた大きな一歩と考え、今後も低炭素社会実現に貢献するべく、さらなる取り組みを行っていく意向。
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