・ワクチン接種のVRコンテンツを制作
同研究チームは、VRの効果を計測するために、レストランを舞台にしたワクチン接種を促すコンテンツを制作。レストラン内でワクチンを接種していない人がくしゃみをし、その場にいた人たちが感染してしまうという設定のもので、コンテンツを見た人たちは、ワクチンを接種しないとどのようなことが起こるかを知ることができる内容になっている。実験では、このコンテンツを、電子パンプレット、ビデオ映像、VR映像、さらにインタラクティブな要素を含んだVR映像の4種類の媒体で表現。ワクチン未接種の人々175人をランダムに4つのグループに分け、それぞれ電子パンプレット、ビデオ映像、VR映像、インタラクティブVR映像を視聴してもらった。その結果、VRでコンテンツを体験した人が最もインフルエンザのワクチン接種に前向きな反応を見せたという。
・VRの没入感が影響か
没入型VR体験によって、実験への参加者は「そこにいる」という感覚を感じることができ、ストーリーへより強く関与することができたため、インフルエンザのワクチン接種への関心も高めることにつながったと研究チームは語っている。この結果は、VRの使用によって、インフルエンザの予防接種を受ける必要性についての理解を深めることに成功したともいえるだろう。しかし、より深く参加者の接種率とVRの関与について調べるためには、さらなる調査が必要との声も上がっている。
ヘッドマウントディスプレイの技術の進化に伴い、VRの医療分野への導入の研究は急速に加速している。今回のケースのように、予防医療の観点でもVRが効果的という研究結果は、VRが持つ可能性をさらに広げたといえるのではないだろうか。
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