10年がかりの同プロジェクトにより公開されたツールやデータは、ショウジョウバエ、ひいては生物一般の神経系に関する理解を深めるのに役立てられそうだ。
・脳を20ミクロンの厚さにスライスして画像に
Googleは、画像データからの3D再構築に自動化手法をもちこむなどして工数削減を図っているが、それでもコネクトームの作成にはかなりの労力を要したようだ。まずJaneliaの研究者がハエの脳を染色して、ショウジョウバエの脳を20ミクロンの厚さにスライス。スライスされた断片は、特殊な走査型電子顕微鏡により電子を照射して画像化された。
こうしてできあがった画像データから、ショウジョウバエの脳を3D再構築する。このときの正確性によっては、コネクトストーム作成の際の校正に膨大な時間がかかるという。
・3D再構築を自動化
そこでGoogleは、3D再構築の自動化を試み、コネクトーム作成用に最適化した。これにより校正に要する工数数千万時間は、数十万時間にまで短縮されたという。ただ、数十万時間も決して小さな工数とはいえず、地道な校正作業は研究者らによって2年間かけて行われた。校正後、自動シナプス検出手法など駆使してコネクトストームを作成した。この際も、ニューラルネットワークのトレーニングでは、まず手動でのラベル付けが行われている。
GoogleとJaneliaによる苦労の結晶(各データや開発技術)は、誰でも閲覧およびダウンロードできる。
参照元:Releasing the Drosophila Hemibrain Connectome — The Largest Synapse-Resolution Map of Brain Connectivity/Google AI Blog