こうしたなか、現場の医療従事者も、デジタルヘルス化の波を歓迎し、積極的にキャッチアップしようとしているようだ。
スタンフォード大医学部による「2020 ヘルス・トレンド・レポート」からは、今後のデジタルヘルス浸透の傾向を占ううえで重要となる上流域、医療現場の実情が読み解ける。
・医療従事者は統計やプログラミングの習得に高い関心
アメリカ在住700人以上の医師や研修医、医学生を対象とした調査からは、医療従事者がデータドリブンな医療の価値を実感し、データサイエンスなどの技術習得を求めていることがうかがえる。医師の47%、医学生の73%が、ヘルスケア・イノベーションに向けて備えたいと考えており、とりわけ、高度な統計や遺伝カウンセリング、PHM(大規模かつ長期スパンでの健康リスクの管理)、プログラミング……といったデータドリブンなテーマに関心が高いようだ。
また、ヘルスケア・イノベーションに向けて備えたいと考えている医師のうち34%でAIについて学びたいと考えているとのこと。
・自らもヘルスデータの有効性を実感している
身近なヘルスデータの活用にも積極的で、医師、研修医、医学生のほぼ半数がウェアラブルデバイスを使用して自分の健康状態をモニタリングしている。さらには、医学生と研修医の78%と医師の80%は、患者がヘルスケアアプリから得たデータは、医療的ケアをサポートするうえで価値があると考えているようだ。
一方、遠隔医療、個別化医療、遺伝子スクリーニングといった医療技術に関して、教育機関で提供されるカリキュラムは有効性が低いと捉えられがち(医師の44%が「あまり役に立たない」「役に立たない」と回答)なことが判明した。
医療はデジタル化が遅れがちな領域。ただレポートを見る限り、オープンで意欲的な医療従事者が大半で、適切なトレーニングプログラムを提供しさえすれば、現場かデジタルヘルスの浸透を促してくれそうだ。
参照元:Stanford Medicine’s 2020 Health Trends Report spotlights the rise of the data-driven physician/ Stanford Medicine