生体部品はスパコンによってシミュレートされ、目的の動きにとって最良の設計がなされる。これをもとに制作された「xenobots」は、プラスチックや鉄などでできたロボットと違い、目的を終えると死を迎え、自然のなかで分解されるという。
・仮想環境で無数の設計パターンをシミュレート
研究者らはアフリカツメガエルの胚から幹細胞を採取。培養した後にスパコンの設計をもとに厳密に組み立てる。設計に関しては、まずランダムなものが無数に生成され、各設計でのパフォーマンスを仮想環境でシミュレート。パフォーマンススコアの低い設計はすべて削除される。
残ったパフォーマンスの高い設計に関してもランダムに変更され、最終的に物理環境でのノイズに耐えられる可能性の高い設計群が選りすぐられるようだ。
・心筋細胞の動きを利用して自発的に移動
こうして完成したロボットは、心筋細胞の動きを利用して自発的に移動し、テスト環境内を一周することができた。また、ロボットを切断すると自己修復できたという。貯蔵された胚性エネルギーを動力とするため、液体の中を数日間動き回れる。その後ロボットは力尽き、生分解で自然に還るというわけだ。
このプログラマブルな生体部品ロボットは、将来、海洋プラスチックの収集や動脈のそうじなんかに活用される可能性がある。細胞間の情報伝達の最適化などで、さらに高度な多細胞生物の誕生に期待したい。
参照元:A scalable pipeline for designing reconfigurable organisms/ PNAS