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Start Up 東京と東京の2拠点生活? 定額制ホステル泊まり放題サービス「Hostel Life」の使い方とは

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東京と東京の2拠点生活? 定額制ホステル泊まり放題サービス「Hostel Life」の使い方とは

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都心と田舎で2つの生活を楽しむ“デュアラー”や、固定の拠点を作らず移動しながら生活する“アドレスホッパー”。テクノロジーの発展によって、人々の働き方や、住み方も少しずつ変わってきている。

そんな新しいライフスタイルや考え方に対応すべく、新しい住まい系のサービスが続々と現れており、今年はそういったサービスにスポットが当たった年だったと言える。

そこでTechableでは2019年の末に、住まい領域のサービスとしてADDressHostel LifeHafHの3つをピックアップし、詳細について説明する記事を3日連続でお届けする。

昨日第一弾として紹介したのは、定額制の多拠点コリビングサービス「ADDress」。代表の佐別当氏にも取材を行い、サービスの概要から立ち上げの背景まで解説した。

そして今回、第二弾として取り上げるのは、全国13拠点のホステルに泊まり放題となる「Hostel Life」。株式会社Little Japanが2018年11月から提供しているサービスだ。

先に断っておくと、「Hostel Life」は「田舎で暮らしたい」という人のためだけのサービスではない。東京近辺に住んでおり、東京近辺で働いている人が、より効率的に低コストで生活するためのサービスと言っても過言ではないだろう。

まずはサービスをざっくり説明

まずは、「Hostel Life」というサービスの内容について簡単に説明する。

このサービスは、月額1.5万円〜という手頃な値段で「ホステルパス」というメンバーカードを持つことができ、提携しているホステルやゲストハウスに泊まり放題になるというものだ。サービスには3つのプランが用意されている。

まず1つ目は、メインの家を確保しておきながら、サブの拠点としてホステルを利用する人向けの「多拠点パス」プラン。具体的な利用シーンは後述するが、最も安く利用できるプランであり、その代わりに一度に予約できる泊数が2泊までという制限がある。

2つ目は、予約泊数に制限がなく、メインの家を持たずにホステルだけで暮らしていくことができる「ホステル暮らしパス」プラン。

そして3つ目は、シェアハウスをメインの家として利用することができ、さらに全国のホステルにも泊まり放題になる「多拠点シェアハウス」プランだ。

ざっくりと概要について説明してみたが、やはりこのサービスの素晴らしさを理解していただくためには、サービスの目的と利用シーンをお伝えする必要がある。

都心ならではの2拠点生活の形


都心で働いている人にとって、毎日の満員電車や、1時間以上かかる通勤に嫌気がさしている人は多いだろう。

もし、会社の近くに住むことができれば、もっと快適に通勤し、余った時間や体力を趣味や副業など他のことに使えるかもしれない。とはいえ、会社の近くに住むとなると家賃も高くなるし、引越しも面倒……。

「Hostel Life」はまさにそういう人のためのサービスなのだ。

平日は会社の近くのホステルを利用し、週末は家に帰ってゆっくり過ごす。そんな新しい形の2拠点生活が可能になる。1.5万円〜という利用料金も、それまでの定期代を考えるとそこまで高くはないだろう。

では、同社が提供している「ホステル暮らしパス」や「多拠点シェアハウス」のプランは一体何のためにあるのだろうか。平日利用だけの「多拠点パス」プランで十分なのではないだろうか……。

Little Japanがこれらのプランを展開しているのは、上記利用シーンが2拠点生活の“第一フェーズ”だと考えているからだ。

今の家に住む理由がなくなる時


同社が実現しようとする2拠点生活の形をお伝えする前に、今の「Hostel Life」がいかにして生まれたのかということからお話ししたい。

「Hostel Life」を立ち上げたLittle Japan代表の柚木理雄氏は、大学卒業後に農林水産省に入省した。ターニングポイントは3年目の春に起きた東日本大震災だという。

自分も現場に出て何かやりたいと感じた同氏は、NPOでの活動を開始。地方の空き家問題に向き合った。地方への移住に興味を持つ都心部の人たちのニーズとマッチングすることができれば……。これが「Hostel Life」着想のきっかけとのことだ。

地方の空き家問題と都心部の地方移住ニーズに着目してサービスを考案した、という点では「ADDress」の立ち上げ背景にも似ている気がするが、柚木氏はそのプロセスの違いについて次のように話してくれた。
地方への移住に興味を持つ人が多い反面、実際には仕事が原因で移住できないという実状もある。じゃあ仕事を継続することができれば地方に住むという選択肢も生まれるのではないか、と考えたんです。

その上で、いきなり都心と田舎の2拠点生活を始めるのはハードルが高いかと思い、その前段として、まずは必要性のある2拠点生活の形を提供することにしました。

まずは2拠点生活というものについて知ってもらう、体験してもらう。そして、それが実は敷居の高いものではないことを理解してもらうところから始めたのだ。
平日だけ会社に近い拠点で住むという2拠点生活を過ごし始めると、「メインの家もあそこじゃなくていいかも」と思い始める人も出てくるんじゃないかと思うんです。そもそも“メインの家”は、出勤のことを考えて決めた家。その目的がなくなったらもっと自由に家を選択することができますよね。

地方への移住に関心がある人なら、週末だけは少し遠いけど自然が豊かな場所に住もう、みたいな考え方も出てくるかなと。「多拠点シェアハウス」プランは、そういう人たちの受け皿として作りました。

ここまできてはじめて、地方の空き家活用に手を伸ばすことができるということだ。

まずは東京の拠点を拡大!そして…


最後に、今後の展望について柚木氏に聞くと、最初の取り組みとして東京の拠点拡充を挙げた。
最初、東京の他にも札幌とか仙台、名古屋、京都、大阪、福岡といった主要都市に拠点を置いてサービスを開始したんですが、実際の利用者はほとんど東京だったんです。やっぱり新しいサービスとか新しい文化というのは東京から地方に広がっていくんだなと思いましたね。

なのでまずは東京の拠点を増やしていきたいなと。もちろん拠点の場所は、ターゲットとする人が通っている会社や学校の近くに設置する必要があります。場合によっては、ホステルじゃなくてカプセルホテルとかも考えてます。

あとは、通勤・通学が楽になったあとの家の選択肢として、地方の拠点作りもやって行きます。この辺りはむしろ、ADDressさんとかとうまく協業できればなと思っているんですが……(笑)。

家選びの大きなボトルネックになっていた通勤圏・通学圏という条件をなくし、より自由なライフスタイルを選べるようにーー。そんな最終目標を掲げ、その前段として必要性のある2拠点生活の形を提供する株式会社Little Japan。

「家はひとつ」という固定概念を覆すその発想は確かに合理的なように感じ、「2拠点生活」がグッと身近な選択肢になったように思える。そしてその生活に慣れてしまえば、次の選択肢として「地方に住む」という考え方も生まれてくるのかもしれない。

Hostel Life

(文・栄藤徹平)

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