開発までの流れ
「きぼう」のインクリメント61/62期間(2019年10月4日~2020年4月1日)では「長期滞在技術実証の拡大~有人宇宙探査に貢献する技術実証の推進と事業自立化へ向けた利用事業拡大の準備~」をキーメッセージに掲げて、さまざまな宇宙実験が実施されている。そのひとつである国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小動物飼育ミッションでは、排泄物清掃が必要になるのだ。JAXAは、掃除機の仕様性能として、「小型軽量なハンディタイプ」「排泄物の処理を手早く確実に行うための吸引力」「電源を落とした際に吸引した排泄物が逆流しない機構」を基準として設定。
パナソニックは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)より排泄物処理用掃除機の開発を請負う有人宇宙システム株式会社からハンディ掃除機の製造を受注し、市販の充電式ハンディ掃除機をベースに開発した。
宇宙環境への最適化
ハンディ掃除機は、小動物飼育装置での使用を前提に、独自に設計した吸口アタッチメントの追加や、吸引力を5倍に向上させて処理時間の短縮化、安全性などを考慮してパナソニックの乾電池エボルタを用いた外付け電池パック方式へ変更するなど、「きぼう」という宇宙環境での使用に最適化された。また、掃除機としての基本的な性能に加えて、紙パック式の集じんや電池パックの接続に延長ケーブルを採用するなど使い勝手に配慮したほか、ベースとなった市販のハンディ掃除機がJAXAの定める規格に適合する高い品質を有していたことから、開発期間の短縮も実現したという。
本ハンディ掃除機は、JAXAの第5回小動物飼育ミッションより使用される予定で、効率的なミッション運用への寄与が期待されている。
PR TIMES