将来的には、こうした虫型ソフトロボットの群れがあちこちで動き回り、建物の検査や設備の修理などさまざまなタスクをこなしているかもしれない。
EPFLの開発した2タイプのソフトロボット「DEAnsect」について見ていこう。
・白黒のパターンを認識して移動できる
「DEAnsect」の1タイプ目は、ワイヤーにつながれて動くタフなモデルだ。ハエ叩きで叩いたり、靴で押しつぶしたりしても一向に動きに影響を与えず、もちろん折りたたむことだって可能だ。2タイプ目は、完全ワイヤレス自律型モデル。重量は1g未満にして、バッテリーや電子部品など必要なものはすべて背負っている。
「DEAnsect」はマイクロコントローラで情報を処理し、フォトダイオードでモノを見ることが可能。これにより、白黒パターンを認識し、地面に描かれた線に沿って動ける。
・1秒あたり400回以上の電圧オン/オフで伸縮
動画からは毎秒3cmで進む虫型ロボットが確認でき、この駆動力は人工筋肉から得ているという。アクチュエータは2つの電極に挟まれたエラストマー膜で構成され、1秒あたり400回以上と迅速な電圧のオン/オフによって膜が伸縮することで動きが生成される仕組みだ。人工筋肉は3本の足それぞれに搭載されていて、虫型ロボットはこれらを活用することで起伏のある表面も移動できる。
ところで、エラストマー膜がこれほど薄く(わずか数分子の厚さ!)、かつ高い導電性を備えられたのは、研究チームの蓄積したナノファブリケーション技術のたまものだ。
また、研究チームは電源ユニットを劇的に小型化。こうした設計により、重量がわずか0.2gのロボットに、必要なものすべてを搭載できた。
現在、研究チームはスタンフォード大と完全にソフトなモデルを開発中とのことで、ソフトロボットのさらなる進化が楽しみだ。
参照元:A soft robotic insect that survives being flattened by a fly swatter/ EPFL News