・聴き歩きの事故を防ぐため
近年、ヘッドフォンやイヤフォンなどで音楽を聴きながら歩く人が増えた。同時に、こうした聴き歩きの危険性も問題になっている。周囲の音が聴き取りにくくなり、例えば自動車のクラクションや、近づいて来るエンジン音、人々の叫び声など、差し迫った危険を察知できなくなるからだ。こうした問題を解決するために、アメリカ国立科学財団から120万ドル(約1億3000万円)の資金援助を受け、米国コロンビア大学の研究チームが危険を知らせるヘッドフォンを開発した。
・機械学習するプログラムが音の種類を判断
このスマート・ヘッドフォンには、複数の極小マイクが内蔵されており、使用者が音楽を聴いている間、それが周囲の音を拾い続ける。拾われた音は、(AIとまでは言えないが)機械学習する高度な判別プログラムに送られる。プログラムは音を分析し、クラクションや人の声などをピックアップ、それが危険に繋がるものであればヘッドフォンの中に警告音を鳴らす。
コロンビア大学のニュースリリースによると、判別プログラムはヘッドフォン本体でなく、スマートフォンにアプリとしてダウンロードするようになっており、使い続けることで街中にある数100種類の音を識別できるようになるそう。
また、システム全体を作動させるのに極端に少ない電力しか必要としない点も、このヘッドフォンの特長だとのこと。確かに、聴き歩き用には省電力は大切だ。
大学の研究チームは現在、騒音に溢れる街ニューヨークで最終テストを実施中。その後は、企業に技術を提供して商品化する予定になっている。
COLUMBIA UNIVERSITY Data Science Institute