南カリフォルニア大学(USC)が運営するニュースサイトCrosstownは、Googleから得た賞金27万ドル(約2900万円)を活用し、新しいタイプのニュース配信システムの開発に着手した。
「近隣ニュースレタープロジェクト(Neighborhood Newsletter Project)」では、ロサンゼルス近辺の犯罪や交通、大気の質に関するデータを地区ごとに収集して分析。2020年後半には、AIと人のハイブリッドでローカルニュースレターを届ける予定だ。
・地区ごとの情報を掲載したニュースレター
Crosstownは、2018年に報道専門家の養成機関、USCアネンバーグと、マルチメディアの有効活用を研究するIMSC(Integrated Media Systems Center)が共同で設立。生活の安全性/快適性に関わるデータを収集し、Webサイト上でローカルニュースとして配信している。今回のプロジェクトでは、より身近なデータを活用して、LAの多様なコミュニティそれぞれにとって価値ある情報を提供するのが目的だ。最終的にはLAすべての地区でデータを収集し、それぞれに密着した計110のニュースレター作成を目指す。
これにより、ユーザーは自分が属するローカルコミュニティのニュースレターが購読できて、地域で今起きていることが知れる。
・データの翻訳とローカルストーリーを届ける
IMSCがAIやデータサイエンスを提供し、USCアネンバーグの研究ジャーナリストがこれを活用。都市全体の大量のデータをリアルタイムで取得して、分析、ビジュアライズしてニュース記事に翻訳する。データの分析やビジュアライズに関しては自動化されるが、それだけでなくマンパワーでローカルストーリーも織り込む予定だ。ユーザーは分析、ビジュアライズされたデータにリアルタイムでアクセスでき、後に専門家による視点も参照することができる。
こうした生活圏内のピンポイントかつリアルタイムの情報は、合理的なユーザー行動を促すと考えられ、これこそGoogleがローカルニュースに着目する理由だろう。
参照元:A new model for local news/ USC Annenberg News