開発者のLuisa Kahlfeldt氏によれば、このようなエコフレンドリーなオムツは現在市場に出回っておらず、今回開発されたものが初めてであるとのこと。
・天然由来の新素材を活かす
一般のオムツには、天然繊維であるセルローズファイバーだけでなく、高吸水性ポリマーや合成繊維、プラスチックの留め具などが使われており、分解されるのに最大で500年かかるといわれている。これに対し、今回スイス・ジェームズダイソンアワードを受賞したオムツ「SUMO」は、丸ごと全部が天然由来の繊維「シーセル(SeaCell)」でできている。短期間で土壌分解されるのが大きなメリットだ。
ドイツ・スマートファイバー社が提供する「シーセル(SeaCell)」は、吸水性が高く柔らかい新素材で、乳児の肌に直接触れる内側の層と、その下の吸水層には最適だ。しかし、水分を通してはいけない最も外側の層には、そのままでは使えない。
そこでKahlfeldt氏は、スイスの生地メーカーSchoeller社と協力し、化学物質を使わない撥水加工「EcoRepel」をシーセルに施した。こうして内から外まで100%天然素材のオムツが実現した。
また、一般のオムツにはプラスチック製のホックやスナップ、マジックテープ(面ファスナー)などが使われているが、SUMOはそれを一切排除し、伸縮性の高い帯で留めるようにしてある。こういった帯には、通常ならポリウレタン弾性線維などが用いられるが、SUMOでは、「Natural Stretch」という特殊加工で伸縮性を20%高めたシーセルが使われている。
・環境にも、乳児の肌にもいい
ヨーロッパでは、1日に17,000個のオムツが処分されているそうだ。また、合成繊維に含まれる化学物質が、乳児の皮膚疾患の原因になることも最近は指摘されている。開発者のKahlfeldt氏はこれを商業化するため、現在出資者を募っている。
The James Dyson Award