こうしたなかGoogleは、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、グローバルかつリアルタイムにモビリティデータを得る手法を開発したようだ。
・匿名化されたデータに機械学習モデルを適用
Googleの開発した手法では、位置情報の活用を許可したユーザーのスマホからのデータを用いる。データを匿名化して集約することで均一な解像度でヒトの流動性が表せるという。データの匿名化では、ランダムなノイズを付加し、時間の経過に伴うヒトの位置を分散化したものを集計する。
所定の時間間隔で、エリア間での相対的なヒトの流動性を計算。モビリティマップに落とし込み、モビリティの階層構造を浮き彫りにした。
Nature Communicationsに掲載の論文では、モビリティマップが、都市の特性評価や居住性/持続可能性の改善に役立つことが説明されている。
・モビリティマップで都市の評価が短時間で可能に
モビリティがより階層的な都市では、公共交通機関の利用効率や歩行性、病院へのアクセサビリティが高いこと、あるいは1人あたりの汚染物質の排出量が少ないことがわかっているという。例えば、パリとロサンゼルスは同じくらいの人口規模だが、2つの都市のモビリティはまったく異なるものだとわかる。パリは中心に近いほどよりモビリティが高くなり、中心から離れるにつれてモビリティが低下するのに対し、ロサンゼルスはモビリティの高いエリアが点在している。
つまり、パリはロサンゼルスと比べてモビリティがより階層的ということになり、居住性が高いことを示す。
この手法を用いれば、従来の調査では時間とコストがかかって得ていた人々の経済活動や健康に関する評価が、短時間かつ低コストで得られて有用だろう。
参照元:New Insights into Human Mobility with Privacy Preserving Aggregation/Google AI Blog
Hierarchical organization of urban mobility and its connection with city livability/Nature Communications