自動運転車が普及するにあたって、交差点での事故をいかに減らすかが課題のひとつだが、このほどMITとトヨタの研究者が開発したモデルは、不確実性に満ちた交差点での危険予測の精度を高めるものだ。
・不確実性から潜在的リスクを予測
研究者らは、交差点での不確実性、すなわち視界を遮る障害物、センサーのノイズやエラー、他の車の速度、他のドライバーの注意の状況などを組み込んだモデルを開発した。
モデルでは、これらの不確実性を考慮したうえで、潜在的なリスクの推定値を割り出す。道路を細かいセグメントで分割し、各セグメントでの車の速度から、車の進行予測やドライバーの注意などの予測を行う。
また情報量が推定値を得るのに十分でない場合には、車を少し進めてデータをさらに得るよう促す。
これにより、不確実性を減らして、交通事故の潜在リスクを減らすとともに、安全な停止地点の割り出しまでが可能になるという。
・70~100%で事故を回避
研究者らは、模擬都市の混雑した交差点で左折(複数の車線や横断歩道を横切る)する状況を作り出した。ここで行った完全自動運転車と条件付き自動運転車100台以上のテストでは、70~100%で事故を回避することに成功したとのこと。テストにて実用性が示された同モデルだが、さらに厳しい条件下でテストするほか、不確実性に交差点内や周辺の歩行者を含めることが検討されている。
自動運転車の交差点での安全性を高める同モデルは、既存のリスク予測システム「ADAS(先進運転システム)」に組み込まれる可能性もあるとのことで、実現すれば自動運転への信頼感がより高まるのではないか。
参照元:Better autonomous “reasoning” at tricky intersections/MIT News